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SBS理論推進派と反対派の“場外戦”

 検察官に追加立証の機会を与えなかった裁判所。背景には、現職の高検検事とSBS理論反対派の弁護士らとの間での異例の“場外戦”の影響もあるようだ。

「1970年代に英米で提唱されたSBS理論は、00年代以降に日本にも輸入され、虐待診断の根拠とされてきた。中でも大阪では当局とSBS理論推進派の医師の連携が進み、10年頃から刑事事件化される件数が突出。しかし欧米でSBS理論の見直しが進み、国内でも14年以降、全国で15件超の無罪判決が相次いでいます」(同前)

 こうした流れに検察側は危機感を隠さない。特に大阪高裁で19年と20年にSBS事件の逆転無罪判決が連続した後には、児童虐待事件の捜査に関する著作もある大阪高検(当時)の田中嘉寿子検事が、「虐待による頭部外傷事件の基礎知識」と題する論文を「警察学論集」に発表。「検察庁の公式見解ではない」と断りつつも、SBS理論反対派の弁護士グループを名指しした上で主張を展開した。一方、反対派のグループもウェブサイトで反論を重ねており、両者の見解は平行線を辿ったままだ。

 相次ぐ無罪判決を踏まえ、4月までに最高検と全国の8高検に担当検事を配置した検察庁。より緻密な捜査・立証が求められている。

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