“ひねり王子”の愛称で知られる体操のリオ五輪金メダリスト・白井健三が現役を退いた。2013年に17歳で世界選手権デビューを果たし、種目別ゆかで世界初の「後方伸身宙返り4回ひねり」を成功。東京五輪ではエースとして期待されてきただけに、24歳での引退を「早すぎる」と惜しむ声は引きも切らない。なぜ今なのか。
白井自身は会見で「けがや成績が理由ではない」と否定したが、10代半ばから世界のトップで戦っており、やはり勤続疲労はあったはずだ。幼少時からトランポリンで跳びはねながら体をひねるのが大好きな子供。その感覚が17歳にして世界初の大技を生み出す原動力になったわけだが、一方でひねり技があまりにも高度なため、練習すればするほど体に大きな負担がかかっていく。高校生の頃は腰の骨にひびが入り、練習を控える時期もあった。
リオ五輪後はゆかと跳馬のスペシャリストから、6種目で競うオールラウンダーに転身した。17年の世界選手権個人総合で銅メダルを獲る順調なスタートだったが、19年2月に足首を負傷。その後も肩や腰などのけがに泣いた。さらにリオ五輪後に演技の出来栄え点の採点が厳格になり、そこにアジャストするのにも苦労していた。