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2021/06/29

source : 提携メディア

genre : エンタメ

爆笑問題・太田光「もっとカッコよく生きたかった」笑いのために、居場所を探しつづける

──その解説の中で、「自分は偽物だから」「無粋に野暮に生きることしかできない」とも書かれてますけど、そのような考え方になったきっかけはあったんですか?

太田 俺らも本当はもうちょっとカッコよく生きたかったんですよ。でも、結局エリート路線から外れたんですよね。それがいつだったのかっていうと、太田プロを辞めたときだと思うけど。本当はコースに乗ってたはずなんだけど、そうできなかったんだよね。だから、もうなんでもやるしかないっていうか。

本当はお笑いだけやるほうがいいんですよ。政治に口出すとか、物申す的なことってカッコ悪いから、やりたくない。芸人としては無粋ですからね。だからいつまで経っても、さんまさんはカッコいいわけですよ。そんな野暮なことをやらなくてもトップに君臨しつづけているわけで。でも、俺にはそれができないっていうのは明らかだったからね、20〜30年近く前から。だからそれは早々に覚悟は……覚悟ってほどのものじゃないけど、カッコ悪くやっていくしかないなって。

映画で喜劇が作れた時代に憧れて

 

──「カッコ悪くやっていくしかない」というのは、テレビの持つ“大衆性”を大事にしてきた太田さんのスタンスにも通じるものがある気がします。「わかる人にだけわかればいい」という態度に対しても、太田さんは一貫して否定的ですよね。

太田 そうですね。テレビってやっぱ数字なんです。いくら「これは高尚なことをやってるんだ」って言っても、視聴率が悪ければ打ち切りになるわけだし。お笑いっていうのは、どう考えても大衆向けのものなんだよね。やっぱり俺が好きだった喜劇人はみんな大衆芸能ですから。

それは喜劇に限らず、文学にしてもそう。たとえば芥川賞作家より、俺は直木賞のほうが作品としては全然おもしろいと思うしね。向田邦子さんだって、必ずゴールデンの茶の間に向けて発信していったわけで。欽ちゃんもドリフもクレージーキャッツも、俺が好きなものがみんなそういうものだったってことですよ。