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東京五輪「無観客も辞さない」「異例の開催」と言うけれど…菅首相の“やらかし発言”が面白すぎる

2021/07/13
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 菅首相は面白い。

 先週の記者会見らしきものを見てあらためて思いました。4度目の緊急事態宣言を決めたという趣旨でしたが油断していたらギャグ満載だった。「先手先手で」はSNSでさっそくウケてましたが他にもたくさんあった。

菅義偉首相 ©文藝春秋

 たとえば五輪は「無観客も辞さない」としきりに言っていた。この言葉の使い方がまず面白い。

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「無観客も辞さない」のカッコ悪い使い方

 ふつうの使い方を想像してみよう。世論やマスコミが「五輪は観客入れてバンバンやろうぜー、ウェーイ」と興奮している。そんななか菅首相がこう言うのです。

「待て待てお前ら、興奮しすぎではないでしょうかー。私はリーダーとして冷静に考えた。コロナ禍なので無観客も辞さない」

 これが「無観客も辞さない」の本来の使い方です。カッコいいです。

 ところが観客を入れてバンバンやろうぜーと言っていたのは菅首相自身なのである。読売新聞には『有観客 最後まで模索』(7月9日)とふつうに書かれていた。

「読売新聞」7月9日朝刊より

『首相裏目 宣言下の五輪 「ワクチンで抑制」崩れたシナリオ』(朝日7月9日)では、

《この夏、コロナの感染拡大を抑え込んで、安心・安全な五輪を実現して衆院解散・総選挙になだれ込み、勝利したい考えだった。だが、その方程式は崩れつつある。東京に押し寄せる感染「第5波」を防げず、かねてこだわってきた「東京の有観客」は断念に追い込まれた。》

「有観客」の目的は政治利用とふつうに書かれています。