〈ご照会の名前と生年月日の人物は、ニューヨーク大経営大学院で学位をとったり、授業を受けていたりした記録はない。ニューヨーク大学の別の学部の、卒業単位に含まれない授業を2007年に受講していました〉
もう一つ、居住地を巡る疑惑もある。
「土屋氏は親と杉並区の実家で同居していました。世田谷選挙区から都議選に出るぶんには、杉並区在住でも構わないのですが、自民党の世田谷からの候補者を選ぶ公募の条件が世田谷区内在住でした。そこで、土屋氏の母親が世田谷区の知人に懇願し、土屋氏の住民票を世田谷区内の知人宅に置かせてもらったのです」(事情を知る関係者)
事実、土屋氏は11月に住民票を世田谷区内に移しており、都議選でも選挙管理委員会に「現住所」として届け出た。だが、地元関係者がこう語る。
「その後も土屋さんが知人宅に転居することはありませんでした。選挙期間中も近隣住民がその姿を見ることはなかった」
土屋氏の現住所であるマンションの一室の登記を確認すると、所有者は別人夫婦。間取りは2LDK。大人3人で住むには、いささか手狭である。所有者を訪ねたが、「個人情報」を理由に取材に応じなかった。
東京都の選管に一連の疑惑について聞いた。
「公選法235条は当選のために虚偽の経歴を公にした場合の罰則を規定しています。過去には選挙公報に虚偽事項を書いて当選無効となった事例がある。公報以外に自身のホームページやビラも対象になる可能性があります。また虚偽の住所を届け出た場合、公選法238条2の立候補に関する虚偽宣誓罪に該当する恐れがあり、場合によっては当選無効もありえます」