トランプ大統領としきりに言葉を交わされた雅子さま
マクロン大統領夫妻を迎えた6月下旬の宮中午餐会でも、雅子皇后は隣の大統領と話題が尽きないようで、終始会話を楽しまれていたという。「拝見していて、大統領は皇后に強い印象を持たれたように思いました」と、その場に居合わせた人は語っている。もし天皇単独だと、隣の大統領夫人と話せても、向かいにいる大統領とはテーブルの幅もあってじっくりと話しにくい。それを皇后が担ってくれるなら、あとで互いがゲストと話したことを知ることができる。また自分が観察したことと皇后の観察の違いなど、いろいろと共有できる。
トランプ大統領の歓迎晩餐会でも、皇后は隣の大統領としきりに言葉を交わされていた。話題を絶やさず、相手が興味のある話をし、相手からも上手に話を引き出す。外交官の父と母の、外国で客人を招いた時のもてなしを身近に見てきて、また自身も外交官としてもてなしを仕事の一部としてきただけに、そのあたりはしっかりと身につけられているのだろう。
雅子さま「とっさのご決断」でブルーのスーツに
もう1つ、マクロン大統領の午餐会で私の目を引いたことがある。マクロン大統領夫妻を宮中の玄関に出迎えられた時、皇后はライトブルーのスーツで、天皇も同系色のネクタイだった。これを見た時、皇后はフランス国旗の青にスーツの色を合わせ、天皇のネクタイも選ばれたのだろうと、確証はないが思った。
駐ベルギー日本大使だった兵藤長雄氏(故人)もファッションについての皇后の機転について書いている。まだ皇太子と雅子妃だった天皇と皇后が99年12月、ベルギーのフィリップ皇太子とマチルドさんの結婚式に列席された時のことだ。
「当初、(雅子妃の)お召しのスーツは深紅のものを予定されていた。ところが実際に教会に到着されたときは、目の覚めるようなブルーのスーツに変わっていた。それは、雅子妃のとっさのご判断であったことを後から知った。式場に行かれる前、妃殿下はテレビに映し出されていた教会の模様を御覧になっていて、式場に深紅の絨毯が敷き詰められていることを御覧になった。同色のスーツではと思われた妃殿下は即座に鮮やかなブルーのスーツに変えられることを決断された。このご決断は大成功で、教会に御到着時からテレビに大写しになった両殿下は、深紅の絨毯、黒のモーニング姿の殿下、妃殿下のロイヤルブルーのスーツで一際冴えた印象を与えたのであった」(「文藝春秋」2002年1月号)