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2021/07/23

「聖なる色」グリーンの帽子と洋服を選ばれた“意味”

 私も皇太子と雅子妃が結婚後、初の外国訪問でアラブ諸国を回られた時、写真で雅子妃の服装を見て、なるほどと思ったことがある。94年11月、サウジアラビアで、「赤い砂漠」と呼ばれるネフド砂漠を訪れた時、イスラム教の戒律を考えてか、雅子妃は体の線を隠すように膝丈まであるコートのような服を着ていた。髪もなるべく出さないように深めの帽子を被られていた。その服と帽子の色が緑だったのだ。

 イスラム教の開祖ムハンマドはターバンの色が緑だったため、緑はイスラム教徒にとって聖なる色とされている。国旗に緑色を取り入れているイスラム教国が多いのもそのためだ。雅子妃は訪問にあたって専門家から聞かれたのかも知れないが、わざわざ緑色の生地を選んで洋服を仕立てられたことは間違いないだろう。この雅子妃の服はサウジの人々に「自分たちの文化を大事に思ってくれている」との思いを抱かせたはずだ。

1994年11月、サウジアラビア・リヤド郊外の「赤い砂漠」を訪れられた ©時事通信社

 皇室外交にとって皇后が健康を回復されるかどうかは、おもてなしという点からも大きなものがある。いま国内の旅行は1泊が限度だが、外国訪問は何泊もしなければならない。今月22日の「即位の礼」とそれを祝う「饗宴の儀」は皇后のご健康を占うリトマス試験紙になるだろう。「饗宴の儀」は今月22日から31日まで、とびとびに計4回もたれる。これを無事にこなされれば、皇后にとって大きな自信になるはずだ。「饗宴の儀」の最大のハイライトは、160カ国を超える国と国際機関の元首、代表や祝賀使節をもてなす初日22日の宮中晩餐会である。参列者は安倍晋三首相、衆参両院議長などを含め410人に上る。会は午後7時20分に始まり、終了は午後10時50分。3時間半の長さだ。

「饗宴の儀」のため、半蔵門から皇居に入られる天皇皇后両陛下 ©時事通信社

 まず両陛下が国内外の招待者とあいさつを交わし、ご一緒に舞楽を鑑賞される。その後、豊明殿で晩餐会となる。食事は1時間と、通常の宮中晩餐会よりも短かい。食事が終わると招待者は春秋の間で、飲みものを手に約20分、両陛下と歓談する。日本側の招待者はここで退出するが、外国の賓客は松風の間に招き入れられ、1人1人改めて天皇、皇后と言葉を交わす。90年の「饗宴の儀」でも設けられたが、これは「両陛下は全使節と言葉を交わし、感謝の意を表する」との意味がある。