2022年1月に開幕するラグビーの新リーグを巡り、日本ラグビー協会の森重隆会長(69)が、審査委員会が決めたリーグ分け最終結果を覆し、1部と2部のチームの順位を入れ替えていたことが「週刊文春」の取材で分かった。
新リーグは参加24チームが3つのディビジョンに振り分けられ、1部リーグは12チーム、2部、3部が各6チームとなる。チームの振り分けは、協会理事(当時)の谷口真由美氏を委員長に据えた審査委員会が全面的に担当。事業性、社会性、競技力の三つの指標で各チームを評価し、6月中旬に協会側に最終結果を報告した。
週刊文春が確認した内部資料によると、審査委員会が決定した順位は、1部リーグ入りの12位が近鉄ライナーズ、2部リーグに落ちる13位がトヨタ自動車ヴェルブリッツだった。しかし、森会長は委員会の審査結果に不服を申し立て、自身で諮問委員会を立ち上げて再検証を開始したのだ。
「森会長は、2021年シーズンの競技成績と事業運営力の配点をトヨタに有利になるように修正しました。それにより、21年のプレーオフトーナメントでベスト4に入ったトヨタの得点が高くなり、12位に浮上。1部に“昇格”したのです」(スポーツ紙記者)
森会長に入れ替えた理由を直撃した。
――トヨタが2部なのは納得できなかった?
「いや~、そんなことないですけどね! 全体的にみて、審査委員会はおかしかったから、もう一回検証しようと。評価の仕方すべてです。競技力ですね」
――恣意的な修正では。
「それはないです。谷口委員長が『再考します』と言っていれば通っていた。審査委員会が決めるけれども、決定権は私にありますから。(委員会は)無視ですよ、無視。ひどいですよ。それは書いていただきたい」
――公平性が危うくなるのでは。
「向こう側(委員会)は委員のメンバーも教えなかった。どういう評価点をするかとか競技力をどうするかとかは最後までオープンにしなかった」
審査委員会委員長だった谷口氏は「審査の過程についてはお話しできないので」としつつ、こう答えた。
「審査委員会は、審査にベストを尽くしました。協会の方針が、審査委員会の判断とは異なり、変更されたと認識しています」
リーグ分けにあたり、審査委員会を設けたにもかかわらず、その審査結果を会長の一存で覆し、チームを入れ替えたことは、スポーツ団体のガバナンスの在り方を巡って、論議を呼びそうだ。
7月20日(火)16時配信の「週刊文春 電子版」及び7月21日(水)発売の「週刊文春」では、森会長が周囲に語っていたトヨタへの“忖度発言”や、2部リーグに落ちた近鉄の怒りの様子などについて報じる。

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