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《混合ダブルス金メダル》「もはや中国選手ですらも手がつけられないレベルに…」世界卓球・解説者が語る伊藤美誠の知られざる素顔

『世界卓球解説者が教える卓球観戦の極意』より#2

2021/07/31
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 7月26日に行われた卓球の新種目、混合ダブルスでは、水谷準(32)・伊藤美誠(20)ペアが最終ゲームまでもつれる接戦の末に、中国の許昕(31)・劉詩雯(30)ペアに逆転勝ちし、金メダルを獲得。また、女子シングルスでは、伊藤選手が銅メダルを獲得しました。そして、8月1日から行われる女子団体戦でのメダルも有力視されています。

 女子団体に出場する平野選手、伊藤選手、石川選手の素顔について、世界卓球の解説でおなじみの宮﨑義仁氏による『世界卓球解説者が教える卓球観戦の極意』(ポプラ社)から一部抜粋して紹介します。(全2回の2回目/#1を読む)

女子有力選手の素顔

 続いて女子選手についても同様に見ていこう。

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石川佳純(左シェーク 裏・裏 オールラウンド型)

 高校生時代から長きにわたり代表で活躍してきた日本のエース。

 福原愛さん、平野早矢香さんと3人で臨んだ2012年ロンドンオリンピックでは見事銀メダルを獲得。2017年の世界選手権デュッセルドルフ大会では、吉村選手との混合ダブルスで悲願の金メダルに輝いている。

石川佳純選手 ©文藝春秋

 オールラウンドなプレーを得意とする選手で、相手のスタイルや戦術に合わせて、柔軟に対応できる引き出しの多さが特徴。投げ上げサーブを主体に組み立て、時折見せる鮮やかな3球目攻撃は見ていて非常に気持ちがいい。

チームの精神的な柱・石川選手

 代表に選ばれ始めた当初は「愛ちゃん2世」などとマスコミから取りざたされたこともあったが、今ではそんな言葉を聞くこともないほどに、日本を代表する選手として成長してくれている。

 彼女は本当にストイックに自分の強さを追い求めている、素質溢れる天才だ。そしてその素質と努力をうまくミックスさせて、己を高めていける選手だ。

 東京オリンピックのあとも、もしかしたらフランス大会まで頑張ってやっていけるかもしれない。ただし、日本女子も若い世代から有望な選手がどんどん出てきているため、彼女も代表権を獲得するのに必死になるだろう。

 代表入りした際には、その経験の多さからチームの精神的な柱としての活躍が期待されることは間違いない。

平野美宇(右シェーク 裏・裏 前陣速攻型)

 黄金世代と言われる「みう・みま・ひな」同級生トリオ。そのなかでも最初にブレイクしたのが平野選手だ。2017年4月に中国の無錫で行われたアジア選手権で、中国の丁寧選手ら世界トップの選手達を軒並み撃破して、アジア女王に輝いたのだ。

左から伊藤美誠選手、平野美宇選手 ©文藝春秋

 彼女はそれまでの戦い方のままでは勝てないと、スタイルを一新。ほとんど全てのボールをライジング(ボールがバウンドしてすぐの地点)で強打していくという、超がつくほど攻撃的なスタイルに変貌を遂げた。それが花開き、世界にお披露目となったのがアジア選手権だった。