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小学6年生の頃から目を付けていた…高卒新人初の“初打席初球本塁打”オリックス来田涼斗を発掘した女性スカウトの“眼力”

2021/07/28

 前半戦首位ターンを決めたオリックスの勢いを体現するのが、高卒1年目の18歳、来田(きた)涼斗である。

 明石商からドラフト3位で入団した来田は7月13日の日本ハム戦で、7番・左翼でプロ初出場初先発を果たすと、1打席目の初球を迷いなく一閃。史上初となる高卒新人の初球本塁打という快挙を成し遂げた。

 やはり「持っている男」。甲子園でも、高2の選抜・準々決勝の智弁和歌山戦で史上初の先頭打者&サヨナラ本塁打を記録していた。

 その“スター性”をいち早く見抜いたのが、日本球界初の女性スカウト、オリックスの乾絵美(37)だ。

指名挨拶時の乾スカウトと来田

 乾はソフトボール日本代表の捕手として、北京五輪で金メダルを獲得した実績の持ち主。26歳で現役引退後、オリックスの小学生向けアカデミーの指導者としてオファーを受け、2010年に球団職員となる。

 そんな乾が来田を見出したのは小学6年生の時。選手を選抜するため大会の視察をした際、来田の立ち姿に目を奪われた。

「相手投手が来田君のペースに巻き込まれている。この子、すごいなと」

 来田をオリックスジュニアに推薦し、実際に指導すると、まっすぐに目を見て話を聞く、素直な人柄にも魅力を感じた。

 乾が19年の年末にスカウトを引き受けた時、真っ先に浮かんだのが来田のことだった。「次はちょうど来田君が高校3年の年。すごい巡り合わせだなと」

 スカウトの目で見る来田は間違いなくオリックスに必要な選手だった。乾はスカウト会議で訴えた。

「技術や身体能力はもちろん、大舞台で活躍できる星の下に生まれている。スター性がある。そこは今のオリックスに足りないところ。絶対に必要な選手です」