〈あらすじ〉
1962年、戒厳令下の台湾。女子高生のファン(ワン・ジン)が、放課後の教室でうたた寝から目覚めると、周囲から人の気配が消えていた。荒れ果てた校内をさ迷うファンは、発禁本の読書会のメンバーで、彼女に思いを寄せる後輩のウェイ(ツォン・ジンファ)と出会う。ファンは読書会を作ったチャン先生(フー・モンボー)に憧れ以上の感情を抱いていた。読書会のメンバーやチャン先生を探しながら、学校からの脱出を試みる2人は、政府による暴力的な迫害事件と、その原因を作った密告者の存在を知る。
〈解説〉
台湾で大ヒットしたホラー・ゲーム「返校」を映画化。台湾の“白色テロ時代”を背景にした、自由と青春を奪われた若者たちの切ないドラマ。ジョン・スーの長編監督デビュー作。103分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★★☆やや悪凝りの画面作りにとまどうが、徐々に浮かびあがるダークな台湾史に惹きこまれた。美少女と美少年。「忌中」の文字。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★☆☆幻想映画から政治スリラーまで成分はいろいろだが、ホラー仕立ての部分が安直。『パンズ・ラビリンス』の奥行きがない。
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斎藤綾子(作家)
★★★★★カメラアングルや色合いが美しい。密告の怖さ、家族の怖さ、嫉妬の怖さを絶妙に織り交ぜて不気味に仕上がっている。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆楊徳昌や侯孝賢も扱った台湾の黒歴史をティーンホラー調で描く。Netflixのドラマ版も含めて、企画も現象も興味深い。
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洞口依子(女優)
★★★☆☆60年代の台湾にあった現実の恐怖。戒厳令の擬人化。女優の眼差し。自国の負の暗部をエンタメに包んで見せるその技量。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
『返校 言葉が消えた日』(台湾)
7月30日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
https://henko-movie.com/
