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連載僕が夫に出会うまで

「息子がゲイ」であることを知らされて、厳格だった父は……――2021上半期BEST5

僕が夫に出会うまで 特別編

2021/09/08

2021年上半期(1月~6月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。家族部門の第3位は、こちら!(初公開日 2021年4月22日)。

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書籍「僕が夫に出会うまで

 

『僕が夫に出会うまで』コミカライズ版の発売を記念して、原作エッセイの書き下ろしエピソードを一部、公開します。

今回は、悔いが残ってしまった母親へのカミングアウト※の後日談を公開。

さらに、同性カップルにとっての「パートナーシップ契約公正証書」の重要性についても綴っています。

コミカライズ版と併せてお楽しみください。

 

※母親へのカミングアウト(#28#30)を読むにはこちらから。

 2015年9月30日。僕と亮介君は、カップルから家族になった。僕らは自分たちを夫夫(ふうふ)と呼んでいる。

 江戸川区役所に婚姻届を提出した同日、僕らは『パートナーシップ契約公正証書』というものを公証役場で作成した。

 公正証書とは、公証役場で公証人が作成する公的な書類のことで、僕たちは貞操義務など、男女が婚姻すると発生する義務や権利を、夫夫間で契約している(詳しくは、「Juerias LGBT Wedding」で検索してほしい)。

七崎良輔さん

 そのときはまだ、渋谷区のパートナーシップ条例が施行される前だったこともあるのだが、僕たちは、多くの公証役場から、パートナーシップ契約公正証書の作成を断られてしまった。

 理由としては「男女ではない、同性間の契約は、公序良俗に反する恐れがある」とか、「そんなの聞いたことない」とか、あからさまに嫌な顔をされて、突き返されてしまうのがほとんどだった。心をズタズタにされて帰ってきたことが何度あったことか。

 僕と亮介君は、契約を、公正証書にするのを諦め、二人だけの契約書を作成した。

 それから数日のうちに、たまたま、いいご縁をいただき、僕らのような人間に寛容な公証人を友人の弁護士さんから紹介して頂けることになり、婚姻届を提出した当日に、無事、公正証書を作ることができた。

「愛があればいいじゃないか」はあまりにも無責任

 そもそも、なぜ公正証書が必要なのかというと、僕らのような同性カップルは、何年一緒に暮らしていようと、どんなに愛し合っていようが、この日本社会では全くの他人なのだ。よく、「愛があればいいじゃないか」とか「男女でも紙キレに縛られない内縁の夫婦もいるしね」とか言われることがあるが、僕はそうは思っていない。

 愛があるなら、なおさら、相手のためにも、自分のためにも「婚姻制度」は必要だし、婚姻届が不受理で返って来てしまうこの時代には、やはり公正証書が必要なんじゃないかと僕は思うのだ。