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2021/08/30

genre : ライフ, 歴史, , 社会

「そこで、我々の開発した技術では、事前にすべての道を歩いて360度の動画を撮影しておいて、その素材を合成することで使う人がほしいルートの動画を生成することができるようになっているんです。

 例えば駅だったら、改札から周囲の施設までにある道をすべて撮影しておけば、どんなルートであっても新たな動画がどんどん生成できる。将来的には、スマホのアプリを使って今いる場所から予約をしたお店までの道案内動画を生成したりすることもできるようになっていきます」(政岡さん)

イメージはこういう感じ。新大阪での「JR→地下鉄御堂筋」を例にとってみた(JR西日本・ブイテック研究所提供)

 つまり、A地点からB地点までの案内動画が必要なとき、これまでならば実際にA地点からB地点まで歩いて動画を撮影していた。だが、それではC地点からB地点に向かうときには意味がない。そこで、「ミラプス・ガイド」ではA・B・Cの各地点を含む一帯のすべての道を歩いて動画を撮影、その素材を組み合わせることで、A地点からB地点、C地点からB地点などどのようなルートの道案内動画も作り出すことができるというわけだ。

 さらに、A・B・C地点だけでなく新たにD地点という目的地が必要になった場合も、事前撮影エリア内に含まれていれば新たな撮影は不要だ。もし撮影エリア外だったとしても、すべて撮影し直すことはなく、D地点までのルートだけを撮影すればOK。と、最初こそ手間はかかるが、一度撮影してしまえばあとは自由自在というシステムなのである。

 

「5分間も動画を見るのはしんどいじゃないですか」

「なので、たとえば交差点までまっすぐ歩き、右に曲がると同じ場所だけど違う時間に撮影した動画が続く、という感じになりますね。なので通行人の人数などが違ったりはしますが、それほど違和感なく合成することができています。

今度は「大阪」を事例に「JR大阪駅→御堂筋線梅田駅」に向かってみた(JR西日本・ブイテック研究所提供)

 また、『ミラプス・ガイド』では早回し、5分の道のりを30秒ほどで見せるようにしているんです。実際に5分間も動画を見るのはしんどいじゃないですか。逆に途中をカットするようなこともしていません。なので、早回しにして、“一度行ったことがある”という体験を動画上でしてもらうイメージですね。これを見ておくだけでも、かくだんに迷いにくくなると思います」(政岡さん)

 と、こうして説明されてみると意外とシンプルな発想である。やっていることは簡単で、(1)事前にすべての道を歩いて素材を撮影→(2)ユーザーが求めるルートに合わせて素材を合成して動画を生成、だけである。