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2021/09/01

 そして、その証拠として〈さんプラザ建替に関する神戸市からの書簡〉と題し、13年8月29日付〈(有)MURO取締役 室鋭三郎様〉宛の〈神戸市都市計画総局市街地整備部市街地整備課担当課長〉名の文書を提出しているのだが、この文書にはこう書かれている。

〈(さんプラザビルの)建て替えには、さんプラザ高層階の訴訟問題の解決が不可欠であり、この解決に向け、貴方様がこれまで様々な取り組みを進めてこられ、現在は平成25年7月に木島総合法律事務所からの提案を受け、鋭意手続きを進められておられることに関しまして敬意を表します〉【( )内は筆者補足、以下同】

「センタープラザ西館」4階にある室氏の事務所。室氏は2015年頃からここに事務所を構えているが、「西館」の管理会社もサン社である。

古巣の「地上げ屋」からもう一人の男が

〈木島総合法律事務所〉とは、後に室氏が起こす数々の訴訟で、代理人を務める弁護士事務所だが、室氏は13年7月時点で、同事務所が作成した、さんプラザから「大倉産業を排除する」法的スキームを、神戸市で三宮地域の再整備を担当する、この市街地整備課(現在は「都心三宮再整備課」)の〈担当課長〉に提示していた。

 それにしても、〈敬意を表します〉とは、公正・公平を旨とすべき行政の公文書として、著しくバランスを欠く表現と言わざるを得ないが、同文書はこう締めくくられている。

〈再整備の概要が決まれば、ご指摘の再々開発などの手法が決まってくると思いますので、その時点で、ご質問の特定目的会社の役割も明らかになってくるものと考えております。

 神戸市としましては、時期をみながら関係者との協議を進めたいと考えておりますので、今後ともご協力賜りますようよろしくお願いいたします〉

13年8月29日付〈(有)MURO取締役 室鋭三郎様〉宛の〈神戸市都市計画総局市街地整備部市街地整備課担当課長〉名の行政文書(著者撮影)

 ここに出てくる〈特定目的会社〉とは、室氏が、さんプラザの〈再々開発〉の受け皿にしようと、14年に設立した「特定目的会社SAN PROJECT」のことだ。が、同社の設立時の監査役には、1998年に前述の「三正」が、「住宅金融債権管理機構」(後の整理回収機構)による債権回収から逃れるため、所有不動産を架空転売したとして、強制執行妨害などの容疑で、警視庁捜査二課に逮捕された、同社の元営業部長が就いていた(後に辞任)。

浮かび上がった“3つの問題”

 ここでいったん、話を整理しよう。ここまでのところで、行政コンプライアンス上の問題点は3つある。

 ひとつ目は、極めて公共性、公益性の高い組織である神戸市の外郭団体が、訴訟相手の区分所有者を「排除」するため、あろうことか元「地上げ屋」の手を借りたこと。

 ふたつ目は、その外郭団体だけでなく、神戸市の担当課長までもが、元「地上げ屋」の室氏に対し、〈敬意を表します〉などと異例の行政文書を発出していること。

 そして三つ目は、室氏が描く「さんプラザ再々開発」のスキームに、室氏の「三正」時代の仲間であり、かつての「住専問題」で、逮捕歴のある人物まで組み込まれていたこと、だ。

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