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渡辺勝、高松渡、土田龍空…ドラゴンズの“希望の光”をもっと見たい!

文春野球コラム ペナントレース2021

 木下雄介投手の追悼試合、見させていただきました。中継ぎ投手がグッと踏ん張って、DeNA打線を完封! ドラゴンズらしい、素晴らしい勝利だったと思います。投手陣は本当に頼もしいな、と思いながら見ていました。

 ドラゴンズの課題はとにかく打撃ですよね。

 バンテリンドームが本拠地である以上、なかなか長打が出ないのは、ある程度仕方のないこと。現状の戦力では、小技を使ったり、足を使ってかき回したりしながら、点を取っていかないといけないのかなと感じています。現状を変えていくためには、若い力も必要でしょう。

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ランナーにプレッシャーをかける渡辺勝の“攻めている守備”

 最近、試合を見ていて「光ってるな!」と思うのは渡辺勝さんです。

 育成出身のプロ6年目。一本足打法がトレードマークで、8月17日の広島戦ではプロ初ホームランを記録、初のお立ち台も経験しました。

 少し当たりが止まっている時期もありましたが、最近はまたヒットが増えてきましたね。バントもすごく上手ですし、俊足ですからセーフティバントも相手にとっては脅威だと思います。ゲッツーも少なそうですし、2番に固定すれば攻撃の幅が広がるのではないでしょうか? 

渡辺勝

 それに、渡辺勝さんはレフトの守備がいいですよね! 本来打撃のことを考えると、僕はアリエル・マルティネス選手にレフトをやって欲しかったんですが、渡辺勝選手の見えないところで相手のランナーにプレッシャーをかけているところが本当にいいと思います。これは僕にとって新しい“発見”でした。

 レフト線のきわどいところや左中間への当たりを猛ダッシュで捕りに行って、ランナーを進塁させないシーンを、これまで何度も見ています。8月27日と28日の巨人戦では、それぞれツーベースになりそうなレフト線の当たりをワンヒットに抑えていました。9月4日のDeNA戦でもありましたね。守備での貢献度がすごく高いと感じています。

 この“攻めている守備”をシーズン通してやってくれたら、すごく価値があると思います。たとえば、広いバンテリンドームでは“守り勝つ”ために渡辺選手を起用して、狭いビジターの球場では“打ち勝つ”ために長打力のあるアリエル選手や福田永将選手をレフトに起用してもいいですよね。

 もちろん、一本足打法から放たれるヒットの数が増えていけば、外野の一角に定着するのは早いでしょう。2021年に台頭した新戦力といえば、渡辺勝さんの名前が真っ先に挙がるぐらいの活躍を続けてほしいですね!

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