譲渡すべきではと声を上げた医療スタッフもいたが…
「五輪の日程がすべて終わり、会場の撤収作業に入ったところ、救護室にある未開封の医療物資をすべて廃棄するよう直属の上司に言い渡されました。譲渡すべきではないかと声を上げたスタッフもいましたが、理由を聞いても『民間に譲渡できないと規約で決まっているから』の一点張りで拒否されました。ただ、その規約は見せてもらえないのです。スタッフたちからは『未使用のマスク、ガウンは今、医療機関で必要としているところもあるはずなのに……』と疑問の声が上がっていました」
当初、五輪は有観客で実施される予定だったため、組織委は選手とスタッフ分、ゲスト分をまとめて発注していた。しかし、開会15日前に無観客が決定し、キャンセルできなかった観客分が大量に余ってしまったのだ。
大会スタッフが担当会場の廃棄内容を説明する。
「サージカルガウン200着、サージカルマスクやN95マスクがそれぞれ1000枚以上です。大会のためにサイズを特注したリネン製タオルも数えきれないくらい捨てました。点滴の針など危険物は『REPAIL』と書かれた専用容器に入れ、廃棄するものは最終的にミニバン4台ほどで運ばれていきました」
山下局長は「見通しが甘かった」と頭を下げた。だが、五輪の全日程が終わったのは8月8日。その後、会場撤収の現場では廃棄が続けられていたのに、なぜ20日以上も“判明”しなかったのか。小誌が問い合わせなければ、そのまま隠蔽され、さらなる無駄が生じていた可能性がある。
9月2日(木)発売の「週刊文春」グラビア記事では廃棄現場の全ての写真とともに、大会スタッフの詳しい告発内容を掲載する。同時に本日公開の「週刊文春 電子版」では廃棄現場の写真と合わせて記事の全文を無料で公開する。

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