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六畳一間の単身寮で“軟禁”され…防衛省への2億円水増し請求 “内部告発者”が会社から受けた酷い仕打ち

「防衛省への水増し請求を告発したら、会社から酷い仕打ちを受けて……」

「週刊文春」の取材にそう明かすのは、防衛専門の輸入商社で知られる「昌新」(年間売上高約60億円)の元名古屋支店長、野田正博氏だ。

 昨年末、防衛省が1通のリリースを出した。〈部外からの通報〉を受け、主力戦闘機F-15に搭載するカメラの納入を巡り、昌新の水増し請求が発覚し、同社を〈9ヶ月の指名停止〉にするというもの。この事案を防衛省に〈通報〉した人物が、野田氏だ。

防衛省 ©文藝春秋

「私は昨年11月8日、公益通報制度に則り、下請け会社である昌新が元請け会社に対し、過大な金額の見積書を出していたことなどを防衛省に告発しました」(同前)

 告発を受け、防衛省も調査を開始した。「週刊文春」はその最中の昨年11月19日に行われた昌新の幹部会議の音声を入手。それによれば、会議の場で昌新の社長は、

「水増しというかな。その分に関しての返還請求とか、出てくる。(略)防衛省の委託ビジネスそのものがストップされるかどうか」

 などと口にしていた。

 社長の危惧通り、防衛省は12月11日、昌新に対し、9カ月の指名停止処分を発表。不正による過大な支払いは約2億円に及んだという。が、6日後の12月17日。野田氏を待ち受けていたのは、会社からの露骨な“仕返し”だった。

「就業規則違反を調査するという理由で自宅待機処分となりました。業務時間中の社内外関係者との接触禁止や、会社への出入り禁止、パソコンの返却などが命じられた。六畳一間の名古屋の単身寮で“軟禁状態”にされたのです」(野田氏)