〈あらすじ〉
50歳の独身男性ニコス(ディミトリス・イメロス)は、アテネの中心地で高級スーツの仕立て屋を、父親と36年間営んできた。不況により店が銀行に差し押さえられ、父親がショックで倒れると、ニコスは手作りの移動式屋台で仕立て屋を始める。道端で高級スーツが売れるわけもなく、途方に暮れていると、ウェディングドレスの注文が入る。紳士服一筋だったニコスが、隣人のオルガ(タミラ・クリエヴァ)の手ほどきで作り始めた婦人服と一点物のウェディングドレスは、アテネの女性たちの間で評判になっていくが……。
〈解説〉
自身の脚本(共同)による、ソニア・リザ・ケンターマン初長編監督作。崖っぷちの主人公が一歩を踏み出すヒューマンドラマ。101分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★☆☆主演俳優の人相になじめず。服作りのディテールや販売スタイルを興味深く注目。後半の解放感。ギリシャ小旅行気分に。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★★☆服を移動式屋台で売るという発想が技あり。アテネの風景が流れはじめ、話も動く。カウリスマキとは抒情の種類が別物。
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斎藤綾子(作家)
★★★★☆服の仕立てに専念するニコスの姿が、女性を抱く時の優しさや丁寧さを妄想させる。ギリシャの街並みと生活感もいい。
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森直人(映画評論家)
★★★☆☆無声喜劇の要素を滑らかに取り入れ、ファスト消費への風刺もあり。佳作だが、やや予定調和の良心や感動に寄りすぎか。
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洞口依子(女優)
★★★☆☆バスター・キートンやジャック・タチを想起する映像。音楽で例えるならたまにはこんなユニークな楽譜も心地よい。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
『テーラー 人生の仕立て屋』(ギリシャ、独、ベルギー)
9月3日(金)より新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
https://movies.shochiku.co.jp/tailor/
