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「誘ってください」「パンツいりませんか?」と下着を売りつけようとする中学生も…危険すぎる子どものSNS利用の実態

『スマホ危機 親子の克服術』より#1

2021/09/17

source : 文春新書

genre : ニュース, 読書, 社会, テクノロジー

 SNSいじめ、ゲーム依存、性被害……。子どものスマホ利用の実態はどうなっているのか。ジャーナリスト・石川結貴による『スマホ危機 親子の克服術』(文藝春秋)から一部抜粋して、子どものスマホ問題を紹介する。(全2回の1回目/後編を読む)

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テレクラのアプリ版も

「SNS」と聞いて、おとなが思い浮かべるのはツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどだろう。ツイッターなら140字以内の短文を投稿、利用者同士は文字を打ち込んでメッセージを交換し、コミュニケーションする。

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 一方、子どもたちの間では数年前から「トークアプリ」や「ボイスSNS」の人気が高い。ボイスSNSではその名のとおり「声」を使う。つまり会話をするのだ。

 中高生に人気のアプリ「斉藤さん」や「KoeTomo(こえとも)」は、利用者同士がランダムにつながり、匿名で会話できる仕組みだ。いわゆるマッチングアプリで、どこの誰につながるかはわからないが、自動的に誰かにつながる。90年代に流行したテレクラ(テレホンクラブ)のアプリ版、そう考えるとわかりやすい。

©iStock.com

「クラスの女子の半分くらいは使ってますよ」と話すのは、高校2年生の愛莉さん。2年前から週に一、二度利用するという。

「ヒマつぶしにちょっと誰かと話そうかって使い方もできるし、友達と一緒にいたずら半分でやることもあります。『キモイ人に当たった』とか、『いきなり下ネタ振られた』とか、話のネタにするとみんなにウケるんです」

 愛莉さんはツイッターやインスタグラムも利用するが、「やっぱり声で会話できたほうが楽」だと笑う。

「テキストメッセージ(文章の投稿)は微妙なニュアンスが伝わらない。LINEのグループトークでも、ちょっとした言葉を誤解されてハブられる(仲間はずれにされる)ことがありますからね。その点、斉藤さんとかなら相手の声から年齢や雰囲気がわかりやすい。話がおもしろいとか、ノリがよさそうとか、少ししゃべるだけで伝わってくるじゃないですか。優しそうな人に当たると、『リアルで会ってもいいかな』って気持ちになるんです」

 実際には会ったことがないというが、その理由は「話した相手が遠くに住んでいたから」。逆に近くの人なら「今から会おう」と会話が弾み、ノリに任せて行動するというのだ。

投げ銭狙いで顔出し・コスプレする子もいる

「斉藤さんにはビデオ通話やライブ配信の機能もあって、よくできてますよ」と言うのは、高校3年生の菜穂さんだ。声だけでなく、利用者同士が互いの顔を見ながら話したり、自分の話している様子をそのまま動画配信して多くの人に聞いてもらうことができる。ライブ配信は映像のオンとオフを選択できるため、実際にはラジオ番組のように声だけを流す利用者が多いという。