9月1日、秋篠宮家の長女・眞子さまと婚約が内定している小室圭さんが年内に結婚する方向で調整されていると複数のメディアが報じ、衝撃が走った。10月に婚姻届を出す方向で調整との報道も続いている。
なぜ眞子さまのご結婚は急展開したのか。宮中で起きていた眞子さまの宮内庁長官への“直談判”事件などについて、9月10日(金)発売の月刊「文藝春秋」10月号がその詳細を報じている。
NHKが夜7時のニュースで「秋篠宮ご夫妻の長女・眞子さま 大学時代の同級生・小室圭さんと婚約へ」とスクープしてから4年。「文藝春秋」2021年6月号掲載の江森敬治氏(毎日新聞編集委員)、片山杜秀氏(慶應義塾大学教授)、河西秀哉氏(名古屋大学准教授)、山口真由氏(信州大学特任教授・法学博士)による座談会を公開する。(全3回の2回目/#3へ続く)
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なぜ小室さんに“反発”するのか
河西 この結婚問題は2人の問題にとどまらず、皇室全体に大きな影響を与えそうなところが心配です。片山さんはどう見ていますか。
片山 戦後の皇室は「日本国民の鏡」たろうとし、皇族が如何に市民感覚をなぞれるかに比重をかけてやってきたのではないですか。そして、戦後の恋愛の一理想は、家に縛られない自由恋愛でしょう。皇族の数が少ないのと、付随する物語がかなり特異なので悪い目立ち方をしますが、基本は現代日本の恋愛の平常運転の域内をなぞる事例で、戦後の皇室のありようの想定内の出来事とも言える。国民も皇族の自由な姿を長年、望んできたのでは?
河西 確かに近年は、皇室がますます我々に近づいてきて、国民の鏡になっているところはあります。一方で、その逆のことをしてきたのが、平成の皇室でした。例えば、上皇ご夫妻は被災地訪問を繰り返し、道徳的な姿を見せてきた。その姿を見た国民は、「政治家はだらしないけれど、皇室はなんて素晴らしいんだ」と思った。そういう意味では、平成の後半に皇室の権威が強化され、より一層国民は畏敬の念を抱きました。そこに小室さんのような人が出てきたから、「私たちと同じじゃないか」と思って反発するんですよね。
戦後の皇室は「開かれた皇室」
片山 平成の天皇と皇后の徳の高さは、国民と対等であろうとする人間らしさを喚起していたと思います。その生き方は戦後民主主義の理想的価値、人権や自由や家からの解放の精神ともつながっている。一般社会では親の同意なく結婚するケースはいくらでもある。いかなる愛も尊重されねばならない。戦後の皇室は「開かれた皇室」でしょう。開かれて日本国民の普通となるべく違わないように演出される皇室の姿が求められてきたと思います。国民がいまさら皇室だけは違うと思おうとしても、一種の手のひら返しのようなもので。でも、これだけ強い反発が起きるのだから、国民の願望はそちらにあるのでしょうね。