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「何が燃えてるんや?」「…人みたいです」25年前に起きた“衝撃の焼身自殺” 神戸市助役は自ら灯油をかぶった

歪んだ復興 #3

2021/09/09

「9月1日付の記事に関して、でございますが、記事の内容につきまして、本市としても事実と認識できる部分もございますし、事実かどうか、確認できないような部分もございます……」

 9月2日、神戸市議会の「都市交通委員会」――。

 神戸・三宮の大型商業ビル「さんプラザ」を管理する、外郭団体「神戸サンセンタープラザ」(以下「サン社」)を所管する都市局の担当部長は、委員からの「昨日、文春オンラインで掲載されていた記事は、事実か否か」との質問に対し、こんな歯切れの悪い答弁に終始した。

「9月1日付の記事」とは、同日、本サイトに掲載された「78歳“元地上げ屋”と手を組み…神戸市の再開発に重大疑惑 なぜ『さんプラザ』は復興の波から取り残されたのか」#1#2のことである。(集中連載第3回/#4に続く

「三宮再整備」から取り残されたビル

 私はこれらの記事で、さんプラザが、神戸・三宮の“玄関口”にあるにもかかわらず、神戸市の進める「三宮再整備」から取り残されている原因に、サン社が約30年にわたって抱え続けている高層階所有者との訴訟問題があることを指摘した。

 さらには、サン社がこの高層階所有者をビルから排除するため、所有者に対して保有する債権「約929万円」の一部を、曰く付きの元「地上げ屋」に売り渡すという、同市のコンプライアンス条例に抵触しかねない“禁じ手”に及んでいたことを報じた。

「さんプラザ」ビル。かつては10階建てだったが、現在は6階までしか存在しない。奥に見える19階建てのビルは「センタープラザ」、その奥が「センタープラザ西館」。(著者撮影)

 つまり、前述の担当部長の答弁は、サン社を管理・監督する立場にある神戸市が事実上、記事内容を明確に否定できないことを示しているわけだが、さらに記事に対する見解を問われた担当部長は、こう答えたのだ。

「見解ということでございますけど、記事の中身にもありますが、外郭団体『神戸サンセンタープラザ』が当事者となっている訴訟にも関わるような問題、内容になっておりますので、当面は推移を見ていく必要があるのかな、と思っております」

「推移を見ていく」といえば聞こえはいいが、つまりは市として、“傍観する”ということか。

25年前の「ある事件」に引き戻された

 初回(#1)の最後でも触れたが、神戸市では一昨年来、外郭団体の不祥事が相次いだことから、久元喜造市長は、今年3月の市議会で「外郭団体に対するコンプライアンスの徹底」を表明した。が、それは一体、どこへいってしまったのだろうか。

 さらに言えば、この担当部長のいう、サン社が「当事者となっている訴訟」の中でも、同社は20年以上にわたって嘘をつき続けているのである。

 というのも、サン社が、高層階所有者との訴訟において、「所有者に対して保有している」と主張し続けている前述の債権「約929万円」について、私が過去に遡って調べたところ、この「約929万円」自体が、その存在すら怪しい“架空債権”である疑いが浮上したのだ。

 そして、この架空債権の取材を進めるうちに私は、25年前に遭遇した、ある「事件」に引き戻されたのである。

 その日の夜の衝撃は、今でも鮮明に覚えている――。