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2021/09/14

 一方、ワクチンに副反応はつきもので、100%の安全性を求めることはできません。

 これらの効果と副反応を天秤にかけた上で、接種するかどうかを判断するわけですが、このとき医学的に誤った情報やデマに惑わされて、接種の機会を逃してしまうのは、ご自身にとっての不利益につながりかねません。接種をためらっている読者の方々には、正しい情報を知った上で、ワクチンを打つかどうかを決めていただきたいです。

 そこで今回、「反ワクチン本」の偽情報やデマを紹介し、医学的・科学的な視点から、しっかり検証していきたいと思います。正確性をより追求するため、新型コロナワクチンについての正確な情報を発信する団体「こびナビ」副代表の木下喬弘医師にも監修をお願いしました。

書店に並んだ反ワクチン本の一部

「メッセンジャーRNAワクチン」の特徴

 反ワクチン本の詳細に入る前に、「新型コロナワクチンはなぜ効くのか」をご説明したいと思います。

 現在、日本で接種が進められている主な新型コロナワクチンは、米ファイザー社製と、米モデルナ社製。どちらも新技術を使用した「メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン」です。

 ワクチンの古典的な手法は元々、大きく分けて「生ワクチン」と「不活化ワクチン」があります。

「生ワクチン」は、ウイルスを弱毒化させたものを体内に接種して免疫をつけるもので、麻疹や風疹のワクチンに使用されています。一方の「不活化ワクチン」は、ウイルスの一部だけを体内に接種するもので、代表的なものにインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンが挙げられます。「不活化ワクチン」はウイルスの活性を完全に殺してしまっているので、「生ワクチン」に比べて免疫がつきにくい。免疫がついても、長期間持続しないという特徴があります。

 mRNAワクチンは従来の2種類と違い、ウイルスそのものは使用しません。

 具体的な仕組みを説明しましょう。新型コロナウイルスは王冠のような見た目をしており、表面に「スパイクタンパク」と呼ばれる、トゲトゲとした突起物が存在します。このスパイクタンパクの構造についての遺伝情報を、mRNAと呼ばれる遺伝物質に載せて体内に運ぶのです。

 mRNAはすぐに分解されないように、脂質ナノ粒子と呼ばれる脂質に包んで体内に注入します。mRNAが体内の細胞に取り込まれると、細胞内の「リボソーム」と呼ばれる器官が遺伝情報を読み込み、新型コロナウイルスのスパイクタンパクを細胞内で生成する。それに人間の免疫が反応して抗体が作られ、免疫が誘導されるという仕組みです。