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2021/09/14

 ワクチンは基本的に、体内に“異物”を投与することで、感染症に対する免疫をつけるものです。免疫を活性化させるのですから、副反応は十分起こりうるものとして考える必要があります。主な例としては、接種部位の腫れ、痛み、発赤。また、全身症状としては、だるさ、頭痛、筋肉痛、寒気、発熱などが見られます。いずれも許容範囲内のレベルであり、接種後2日くらいまでにほとんど消失します。

科学的に正しくない記述(1)
​「ワクチンが遺伝子的変化を引き起こす」

 ワクチンの大前提を押さえたところで、反ワクチン本の実際の内容に触れていきたいと思います。

高橋徳・中村篤史・船瀬俊介『コロナワクチンの恐ろしさ』成甲書房

〈遺伝子組み換えRNA/DNA技術は、人の身体に永続的な未知の遺伝子的変化を引き起こすだろう。あなたを「遺伝子組み換え生物」に変える設計がされている〉(高橋徳・中村篤史・船瀬俊介『コロナワクチンの恐ろしさ』成甲書房、p.51)

 mRNAワクチンは遺伝子を用いた技術のため、多くの書籍でこのような記述が見受けられます。

 かつて「遺伝子組み換え食品」の安全性について議論が巻き起こったこともあり、「遺伝子」という言葉に敏感に反応される方も多いのでしょう。ワクチンを打てば自分の遺伝子も組み替えられ、改変されてしまうのではないか、と。

 誤解を解くため、まずは細胞の仕組みを確認しましょう。遺伝情報を持つDNAは、細胞内の「核」と呼ばれる部分に存在し、しっかりとした構造の中で守られています。外部から簡単に書き換えられないように作られているのです。

 また、人間の細胞の中にはもともと多数のmRNAが存在しており、タンパク質を生成するために使用する情報を運んでいます。それらは普段、「核」の内部には入ってこられない仕組みになっている。よって、ワクチンを使ってmRNAを体内に注入しても、遺伝子がある細胞の核内に入り込むことは不可能です。遺伝子の改変はあり得ません。