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『科捜研の女』が大きな転機に 沢口靖子(56)が駆け出し時代に抱えていた“苦悩”「容姿といった表面的なことだけでしか…」

2021/09/10
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 沢口靖子主演の人気ドラマシリーズ『科捜研の女』(テレビ朝日系)の劇場版が、去る9月3日に全国の映画館で封切られた。

 京都府警の科学捜査研究所(通称・科捜研)を舞台に、沢口演じる主人公の法医研究員・榊マリコが科学捜査によって事件の真相に迫る同シリーズがスタートしたのは1999年。以来、昨年までにシーズン20を数え(続くシーズン21も来月より開始予定)、スペシャル版も含めると計254エピソードが放送されている。それにもかかわらず、今回、22年にして初めて映画化されると聞くとちょっと意外な気もする。同じくテレビ朝日と東映の制作による警察ドラマで、1年あとに始まった『相棒』が、シリーズ開始9年目の2008年に劇場版第1作が公開されていることを思えば、『科捜研の女』ももう少し早く映画化されていてもおかしくはなかったはずである。

『科捜研の女 -劇場版-』公式サイトより

 じつは映画化については10年以上前から話はあったものの、それが現実味を帯び始めたのは20周年を迎えた2019年に初めて1年間にわたる放送を乗り切ったころらしい。これに自信をつけた番組チームのなかで“次のステージに進む”という機運が高まり、いままで積み重ねたきたものを劇場版にして形にする企画が動き出した(※1)。このとき、制作側は長年シリーズを見ているファン層に向けて「映画になるとしたら、どんな『科捜研の女』を見たいですか」というアンケートを実施し、上位に入った要素を取り入れることにしたという(※2)。

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“科捜研版アベンジャーズ”にする

 それにあたり、このとき上位に入った一つに「“科捜研版アベンジャーズ”にする」というのがあった。今回の劇場版ではこれに応えて、マーベル・コミックのヒーローたちが集結した映画『アベンジャーズ』よろしく、『科捜研の女』の新旧の登場人物がずらりと顔をそろえることになった。初期からのファンには、渡辺いっけい演じるマリコの元夫の倉橋や、過去にマリコにフラれた野村宏伸演じる佐沢などが、どんな場面で登場するかも見どころだろう。筆者のようなほぼ初心者にも、過去の大半のエピソードはウェブ配信されているので、劇場版を見たあとにマリコと各人物との関係を改めて確認しながら楽しむこともできる。