昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

source : 提携メディア

genre : ライフ, 医療

若い世代が亡くなる新型コロナ第5波 その陰に「無自覚の糖尿病」が存在……五輪開会式聖火ランナー・大橋博樹医師が語る

若い人は自分が糖尿病と知らず悪化するケースも

――自宅にいる患者さんの訪問診療もされていますね。

 もともと2百数十人の在宅の患者さんを診ているんですが、それに加えて、保健所から「ベッドがないから入院するまでお願いします」と依頼されるようになりました。在宅で酸素吸入をすれば数日しのげる方もいますが、それだけじゃまずいとなると、入院の調整をお願いします。

――自宅療養では厳しいと判断するのはどのような患者ですか。

 肺炎のため呼吸状態が悪くて即入院が必要という人のほかに、基礎疾患が悪くなって多臓器不全を起こして危ないという人も出てきています。基礎疾患で問題なのは、一番が糖尿病。基礎疾患のない若い人が重症化したという報道を見るんですけど、実は基礎疾患がないのではなくて、見つかっていないのかなと個人的には思います。高齢の方と違って、30、40歳代では健診を受けていない方もいて、ご本人も糖尿病だと知らない。食事が取れなくて意識がもうろうとしている人がいて、診療すると隠れ糖尿病が悪化した状態でした。

 「基礎疾患なし」と保健所に伝わると、入院順位は下がります。糖尿病と気付かずに普通に生活していて、たまたまコロナにかかって亡くなったというケースが出てきています。若い方の場合、そこが難しい。第5波は、感染者数が多い割には死亡者が少ないですが、失われなくてもいい命が失われているのは、とてもまずい事態だと思います。

多くのコロナ患者を診ているのに抗体カクテル療法が使えない

――重症化を防ぐ治療法として、1回の点滴で行う抗体カクテル療法が外来でも使えるようになりました。どのように受け止めていますか。

 軽症の時に使うと悪化が防げるというデータが出ています。積極的に使いたいのですが、「外来で使える」と言っても、入院施設がある医療機関限定なので、うちでは使えません。自宅療養の患者さんには使えるのですが、僕らが訪問する方はすでに重症化しているので対象になりません。うちのように発熱外来で多くの新型コロナ患者さんを診ているところでは、ベッドがなくても外来で使えるようにしていただきたいですね。軽症で見つけ、糖尿病など基礎疾患のある方には、その場で投与できるようにする必要があります。