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2021/09/15

日付が空欄の〈工事請負変更契約書〉

 サン社は、神戸地裁の調査嘱託に対する回答の〈根拠資料〉として、前述の〈平成8年〉に鉄建建設との間で、最終的な請負代金を〈1702万3147円〉とする契約変更を行った際の〈工事請負変更契約書〉を提出している。

 だが、この契約書、肝心の締結日の日付が〈平成8年 月 日〉と、空欄になっているのだ。

 契約書の文面から、少なくとも、前述の「三者契約」に基づく工事費〈4億2984万9890円〉が、神戸市から鉄建建設に支払われた96年4月3日以降に作成されたものと推測されるのだが、この中にはこんな一文がある。

〈甲(サン社)は残額金9,298,147円也を平成8年8月31日に乙(鉄建建設)に現金にて支払う〉【( )内は筆者補足】

サン社が〈平成8年〉に締結したとする、鉄建建設との〈工事請負変更契約書〉。しかし、日付が入っていないため、いつ作成されたものかは不明だ。

 ここでもう一度、かつてサン社が大倉産業に送りつけていた“架空請求”「4億5000万円」の請求書の日付を思い出していただきたい。

〈平成8年7月10日〉と〈平成8年9月10日〉である。

 では、このサン社と鉄建建設との間で交わされたとされる〈工事請負変更契約書〉は一体、〈平成8年〉のいつの時点で締結されたものなのか。

神戸地裁にも虚偽を主張していた

 私は今回、鉄建建設の関係者を通じて、この〈契約〉のもう一方の当事者である、当時の鉄建建設「神戸営業所」の所長と、事情を知る同社「大阪支店」の常務取締役支店長に取材を申し込んだ。が、大阪支店長は既に他界されており、神戸営業所長には取材に応じていただけなかった。

 つまり、サン社が神戸地裁の調査嘱託に対し、その回答の〈根拠〉として提出した、この〈工事請負変更契約書〉の存在自体、極めて疑わしいものなのだ。

 これでもう、お分かりだろう。

 神戸市の外郭団体「神戸サンセンタープラザ」は、大倉産業の破産申し立てを行なった大津地裁だけでなく、神戸地裁の調査嘱託に対しても、虚偽を主張していたのである。