文春オンライン

俺たちの習近平の大中華経済政策が滅茶苦茶で面白い件について

これぞ共産主義ですごい

2021/09/18
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 凄いなあと思ってニュースを見ているんですが、中国国家主席の習近平さん、振り切れてるというか、反腐敗運動から新スローガンの共同富裕まで、さまざまな面白政策が出てきてビックリな状況になっておるわけですよ。

 最近だと、中国不動産ファンド・デベロッパーで規模2位ぐらいの、広東省深圳市が本拠地と言っておきながら実際の登記地はみんな大好きケイマン諸島の「恒大集団」が槍玉に挙がってました。何が凄いって、「あいつら何か不調だな?」と囁かれて、第三者が見て「おかしいから格付け下げるぜ」と言い始めてわずか2週間後には、9月20日付の利払いが停止されて事実上の破綻宣告。早い。ヤバいぐらい早い。もうね、プーさんがはちみつ舐め尽くすぐらいの猛スピードで死亡であります。

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経済犯罪なのに死刑ってどうなのよ、と思うわけですが

 そのトリガーとなったのは、2兆円ぐらいと言われているドル建て社債。買い手はみんな中国大陸から見れば外国人なんですが、これらの資金のけっこうな割合が中国から海外に流れ出たカネをシンガポールとかマレーシアのファンドにして買ってるだけという意味では、中国人が外国人のふりをして中国不動産会社の高利回りジャンク社債を買って、資金を中国本土に還流しているだけとも言える。まあ本当に飛んで清算してみないと分かんないですけどね。

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 で、ここの総帥だった許家印さんという人、広州から北京五輪、上海万博、そして香港・深圳の発展に深く寄与した立役者にして中国3位の富豪だったのに、おそらく年末にはすってんてんになります。大変なことだ。さらには、この恒大集団の成長に寄与した当局担当者がつまみ出されて、腐敗行為に加担したということで死刑判決が出るんじゃないかという噂まで出るビッグな話になってきました。

 経済犯罪なのに死刑ってどうなのよ、と思うわけですが、まあ実際けっこうな数の人たちが中国国内や海外の事案で取っ捕まって裁判にかけられ死刑判決になってしまう実態もありますので、汚職も命がけであります。大変なことだと思うよ。

 投資家サイドから見ていると「ああ、これぞ中国リスクだな」と思うわけなんですが、一連の話の遠因は2012年11月、中国共産党政治局の「第1回集団学習会」で中国共産党のトップに就任した習近平さんが「腐敗が進めば共産党の滅亡に繋がる」ということで、最優先での徹底した排除を目指したところから続いておるわけですよ。

 そこから足掛け10年、党内基盤が盤石になった俺たちの習近平さんは、さらに反腐敗運動を推し進め、党内の風紀是正の整風運動として中国経済を担う経営者、事業体にも話が及ぶようになってきました。中国共産党に忠誠を誓っていても、地元軍閥の中国人民解放軍系企業も、羽振り良さそうにしたら平等にぶん殴られる怖れがある、場合によってはなんか罪状をでっち上げられて裁判にかけられ有罪になり、反腐敗に引っかかると財産全部没収されたうえ死刑もある、という意味ではとても中華な感じがします。大変ですね。