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エアコンはどこまで「セルフ」で掃除できる? プロに“限界”を聞いてみた《秋こそ絶好のタイミング》

2021/09/25
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 振り返れば、今年の夏もそれなりに暑い夏でした。この間、熱中症の予防や体調管理のためにエアコンを長時間、連続運転してきた人も多いことでしょう。

 ところで、この夏のあいだ、エアコンのお掃除は何回行いましたか? 2回? 1回? ……まさかの0回⁉ ふと不安になりインターネットで「エアコン掃除」と検索したくなった、そんなあなたに。エアコン掃除はどこまで“セルフ”でできるのか、ご説明したいと思います。

©iStock.com 

 まず、先に結論を言ってしまえば、ほとんどの場合セルフで行えるエアコン掃除は「フィルター」、風向きを調整する「フラップ、ルーバー」、前面パネルなどの「外郭」くらいで、そこが限界です。ちなみにフィルターというのは「エアフィルター」のことであり、ここ15年ほど、この部分の自動お掃除機能が売りの機種も増えています。

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 さて掃除の話の前に、一度、一般的な家庭用エアコン(冷房)のしくみを、ざっと確認しておきましょう。

 1、まずリモコンなどでスイッチを入れると、「室内機」のファンが回り、部屋の中の暑い空気を吸い込みます。

 

 2、吸い込まれた空気は「エアフィルター」を通過する際に、小さなホコリなどの汚れが取り除かれ、室内機の内部にある「熱交換器」に入っていきます。

 

 3、熱交換器は「冷媒」によって冷たくなっています。そこに吸い込まれた室内の空気が触れると、その空気の「熱」が奪われます。

 

 4、空気に含まれる湿気(水分)は熱交換器の結露になります。そして冷やされ乾燥した空気は送風口から部屋に戻され、室内が涼しくなります。

 

 5、熱交換器で奪った熱は冷媒によって屋外の「室外機」に移動し、排熱されます。室内機の熱交換器に付着した結露水は「ドレンホース」から室外に排出されます。

 この1~4の流れによってエアコンは汚れていきます。特に吸い込まれた空気に含まれる汚れと結露水による水分が、エアコンの内部を汚染する主要因となるのです。

「部屋の空気」にはホコリが

 一見きれいに思える「部屋の空気」ですが、そこには実際、繊維クズが主体の「ホコリ」が飛んでいます。ホコリの中にはカビ胞子、花粉、煤煙(排気ガス)、その他PM2.5など多様な有害物質が含まれ、さらにキッチン調理などで発生する油煙や水蒸気をフィルターが吸い込むことでベタつくために、このホコリがひっかかりやすくなります。

 フィルターを長期間、掃除しないことでホコリがまとまると、まるでフェルトのようにもなり、そのあまりの量にビックリする人も多いのではないかと思います。