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「受信料のためなら手段を選ばない」NHKが採用した未納者を狙い撃つ"ある奇策"

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「受信料のためなら手段を選ばない」NHKが採用した未納者を狙い撃つ"ある奇策"

受取人不詳でも届く「奇策」が考案された

「特別あて所配達郵便」ということばを聞いたことがあるだろうか。

住所を書くだけで郵便物を届けてくれる、通称「宛名なし郵便」と呼ばれるもので、日本郵便が6月からスタートした、いささかいわくつきの特例サービスである。

宛名を書かなくても配達するということは、受取人が誰だかわからなくても、住所又は居所が存在すれば配達されるということになる。

衆院予算委員会で答弁するNHKの前田晃伸会長=2021年2月25日、国会内

どんな場面で利用されるのか、すぐにピンとくる人はまずいないだろうが、サービス開始とともに、さっそく手を挙げたのがNHKだ。

NHKの受信料は、世帯ごとに徴収するので、未契約世帯には受信契約の案内や請求書が届きさえすればよく、世帯の中での受取人を特定する必要がない。

誰が住んでいるか特定しにくい都市部のマンションや集合住宅でも、未納者の居所さえわかれば受信契約を迫れるが、宛名まで書かなければならない郵便は利用できず、悩みのタネだった。加えて、コロナ禍で直接訪問による営業も難しくなり、NHKは受信料の確保に危機感を募らせていた。

一方、日本郵便も、やはりコロナ禍で業績が低迷、新たな収入源を模索していた。

そこに、総務省の後押しもあって、日本郵便とNHKの思惑が合致した「奇策」が生まれたのである。

郵便サービスのコペルニクス的転回

通常の郵便物は、受取人の住所と宛名が書いてなければ差出人に返送されるが、「特別あて所配達郵便」は住所さえ書いてあれば、宛名がなくても返送せずに郵便受けに入れてくる。

利用するためには年間1000通以上差し出すことなどが条件とされているうえ、1通あたり200円の特別料金がかかる。定形郵便物の封書(25グラム以内)は通常料金84円に加算されて284円、はがきなら63円+200円で263円と、かなり割高だ。

従来の郵便配達に比べるとコペルニクス的転回ともいえる新サービスだけに、日本郵便は、6月21日の開始から1年間試行し、様子を見て本格サービスに移行するという。