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犠牲フライや進塁打は難しい…札幌ドームで“最低限の仕事”について考えた

文春野球コラム ペナントレース2021

2021/10/17

 札幌市中央区で古書店ビーバーズブックスを営むビーバー池田と申します。いわゆる「古本屋」さんです。ファイターズの勝ったり負けたりに一喜一憂しながら、本も売れたり売れなかったりに追われる日々です。どうかファイターズ打線が繋がりますように、かつ今日の仕事が明日の売上に繋がりますようにと毎日願いながら働いているのです。

絶好のチャンスに「最低限の仕事」が出来ず……

「札幌行くけど、一緒に観戦どう?」

 えのきどいちろうさんからお誘いを受け、文春野球コラム日本ハム執筆者の青空百景さんとともに観戦させていただくことになりました。関東から遠征の(えのきどさん旧知の)トモノさんも一年ぶりの合流。トモノさんは前回もそうですが、今回もたまたま札幌に来ていたそうです。つまり、やっと緊急事態宣言が明けたんですね。

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 去年の相手はオリックスでしたが今年は西武(21回戦)、相手は違えど2年連続で5位6位争いです。オリックスはこの試合の時点(10月13日)で首位です。たった一年でこうも状況が変わるものなんですね。来年の今頃、我がファイターズもうっかり首位争いしてくれないかしら。

C指定席で文春野球コラム日本ハム観戦デー ©えのきどいちろう

 先発は対ファイターズ戦・3勝1敗の西武のエース髙橋光成。迎え撃つファイターズはここまで1勝止まりのロビー・アーリン。この時点で苦戦を予想してしまいます。少ないであろうチャンスを何とかものにして、粘って勝ち負けに持ち込めればなんて考えておりました。

 試合は1点先制された直後の2回裏、チャンスが訪れます。無死1、2塁から打者ロニー・ロドリゲスの逆転の左越2ベースヒット! 何とあっさり逆転しました。よくやったロニー。続く中島が送って1死3塁と追加点のチャンスが続きます。ここで3点目がとれると大きい。一気に行きたいところでした。

えのきど「清水はパンチあるからね、犠牲フライいけるでしょ」

トモノ「当たればいける!」

 カウントも3−1でバッティングチャンスの5球目でした。

私「よし! あれ……?」

 あぁ、センターに打ち上げた打球は力なく失速、浅いセンターフライに終わってしまいました。サードランナー釘付けで還れず。甘い球だったと思うんだけどな。最低限の仕事はしてほしかった……。

 試合は進んで5回裏。スコア3−1で迎えた、またも絶好のチャンス。無死から西川の3塁打、打順はクリンアップへ。今度こそせめて最低限の仕事を……。

私「今度こそ、頼むー!」

えのきど「いちばんいい打順だしね」

 しかし……。グシャッ! 野村がインコースに詰まって力ないセカンドライナー。(近藤四球でランナー1、3塁の後)ボコッ! 高濱がインコースに詰まって力ないショートライナー。

 マジかー。みんな無言でした。強気で攻めた髙橋光成も凄いけれど、それにしてもです、力負けしてしまったのか。打球を上げようという気持ちは感じられたけど、結果はゼロです。無死3塁から1点も取れず。こういうのが後で祟らないといいんですが……。

そもそも「最低限の仕事」とは何なのか

えのきど「犠牲フライって技術いるよね。中田翔はその仕事ができたんだよなぁ」

青空「NHK『球辞苑』でも実は難しいってやってましたね。ぜんぜん最低限じゃないって」

 なるほど、最低限の仕事……。僕ら野球ファンは簡単に口にするけど、そうですね、難しいですよね。胸に手を当てて考えてみました。厳しい言い方ですね、「最低限の仕事」。タッチアップのランナーを返したら私達は反射的に「最低限のォ、仕事ォ~! イエエエーイ!」と浮かれるわけですが、その言葉の意味をちゃんと考えてなかった。

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