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「三代住んでも"よそ者"扱い」山梨の田舎に移住して直面したしんどい人間関係

旧住民たちの気持ちもわかる。

自分たちの先祖が開拓し、さまざまな艱難辛苦を経て、必死に守り、生き抜いてきた土地である。そこにのほほんと移住者がやってくる。嬉しいはずがない。

斜にかまえた態度を取られたり、いやな顔で見られるのは仕方ないことなのだ。

たいていの場合、お互いの間にある壁は、お互いのことを知り合えないのが原因だということ。

だから、じっくりと膝を交えて話し合う機会を持つことが大事。

また、新旧住民はどちらもけっして一枚岩ではなく、いろんな人がいる。少しでもこちらのことに理解を見せてくれる旧住民も少ないながらもいて、よくお酒を持ち込んで、夜中まで話し合いをしたものだった。

実際、そういう人たちがお互いの間の緩衝材として動いてくれたことはたしかだろう。

子供という共通項目が互いの壁を低くしていった

我が家と地元集落の距離感が少し縮まったのは、地元の子供会のおかげだった。

お子さんらを持つ親御さん同士が集い、いっしょにイベントをする。子供会の親子レクレーションをやったり、通学のバス停の刈り払いを親同士で行ったりする。

最初はお母さんたちが仲良くなり、参加するお父さんたちも交流ができる。

子供という共通項目で、新旧住民が分け隔てなくひとつの行事をする。それが互いの間にあった壁を少しずつ低くしていったような気がする。

私の住む地区では、毎年恒例の行事として子供神輿がある。

小さな神輿を子供たちが担ぎ、「わっしょい、わっしょい」と声を合わせながら、地区を回ってお賽銭を集めるのである。それを毎年やっているうちに、地元の人たちから「お疲れ様」「ご苦労様」と声をかけられるようになった。

地元との親子レクでも、昔はボウリングとか、ありきたりのイベントばかりだったが、私たちが参加するようになって、フライフィッシング教室をしたり、体験イベントでカヤックに乗ってみたり、そんな試みをやってきた。

旧住民の親御さん方にとっては、かなり新鮮な体験だったようだ。