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大ヒットWEB4コマ『妻の飯がマズくて離婚したい』が教えてくれたこと〈アニメの食事表現を振り返ると…〉

2021/10/06

source : 提携メディア

genre : エンタメ, テレビ・ラジオ, 読書, 娯楽

大ヒットWEB4コマ『妻の飯がマズくて離婚したい』が教えてくれたこと。アニメの食事表現史を考える(藤津亮太)

 

「メシマズ」漫画としてSNSを席巻したWEB4コマ『妻の飯がマズくて離婚したい』を読んで、アニメの食事表現に思い至る。「食事の楽しさ」ってどういうことだろう。『あたしンち』では? 宮崎駿では? アニメ評論家・藤津亮太が自らの料理体験も踏まえて考察。

「食事の楽しさ」に対する「網の目の細かさ」

さまざまな物事を受け取る「感性」は、網みたいなもので、網の目の細かい人は小さなあれこれもみなキャッチするし、網の目が粗い人は物事を大掴みで把握することになる。どちらが優れている劣っているという話ではなく、どちらにも一長一短がある。

とはいえ夫婦の関係を考えてみると、毎日のことだけに「食事の楽しさ」に関する網の目の細かさは、ある程度似通っていたほうが、幸せになりやすいんじゃないだろうか。話題になっていたWEB4コマ漫画『妻の飯がマズくて離婚したい』(『ママスタセレクト』で連載、9/28掲載の第30話で完結)を読んで、そんなことを考えた。

どうせお腹に入れば同じって

登場するのは小学生を筆頭に3人の子供がいる夫婦。夫はサラリーマン、妻は小さな会社のパートで働き、家事も担当している。事の発端は、夫が高い外食をして帰宅したこと。妻がそのことを責めると、夫はそれまで我慢してきた気持ちを妻にぶちまける。

「ミナミの口癖だよな どうせお腹に入れば同じって…(略)で食事を楽しみたいんだ 美味しいものを食べることも人生の楽しみのひとつなんだよ」(6話)

しかし妻にはこの夫の言っていることが伝わらない。そしてケンカの挙げ句、ふたりは離婚まで考えるに至る。

この夫婦の衝突は「家事の役割分担」や「家計と節約」などさまざまな要素が絡み合うトピックではある。でも根本の原因は「食事の楽しさ」に対する「網の目の細かさ」が大きく違っているところにある。このあと、マンガはふたりの子供時代に触れ、ふたりの食事に対する「網の目の細かさ」の違いがどう形成されたかを説明していくことになる。