そう思って「料理アニメ おすすめ」で画像検索してみると、上がってくるアニメの料理たちは確かに「彩度が高い」ものが多い。個人的に最近のアニメ作品ではオムライスの登場頻度が高いと感じているが、黄色い卵の上に、赤いケチャップ、そして緑のパセリと、まさに「彩度が高いとおいしそうに感じられる」色の組み合わせでできているのである。メイド喫茶の定番という側面もあるだろうけれど、映像的には、「おいしそうに見えやすい」という点もオムライスが重用される理由ではないだろうか。
「網の目」と夫婦の問題
逆に、彩度が低くてもったいないと思った食べ物もある。それはちょうど観直していた『太陽の牙ダグラム』第20話「偽りのグランプリ」に出てきたハンバーガー。『ダグラム』は全体に彩度を抑えた色彩設計の作品で、それが土にまみれたゲリラたちの世界をうまく表現している。しかし、そこに合わせた色で塗られたハンバーガーは世界観にはなじんでいるものの、食べ物としてはあまりおいしそうに見えないのだった。
『あたしンち』第1話終盤では、業を煮やしたみかんが、母に「カラフル」なお弁当にしてほしい、とリクエストをする。そしてそのリクエストに対する回答として母は、おかずにミックスベジタブルを入れてきた、というのが本作のオチになる。バターで炒めたとしても、本来つけ合わせであるミックスベジタブルがおかずの主役というのはなかなかツラい。でもアニメだと、このカラフルなミックスベジタブル、そこそこおいしそうにも見えるのだった。
なおみかんと同じ内容のお弁当を持たされている父はどうかというと、どんなおかずが出てこようと、淡々と食べているのである。世代的に「出されたものは黙って食べる」だけかもしれないが、おそらく「食事に関する網の目の粗さ」が、母と同じぐらいザルなのかもしれない。それは最初からそうだったのか、それとも連れ添っているうちに似てきたのか。いずれにせよ、「網の目」が近いからこそ、このふたりは夫婦を長くつづけられているんじゃないだろうか。
