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なぜ印象派の絵は“明るく”輝いて見えるのか 渋谷でフランス美術の黄金期を堪能する

アート・ジャーナル

2021/10/16
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 せっかくアートを観るのなら、きれいでキラキラして、気分のアガるものがいい。

 観る側のそんな素直な期待に、しっかり応えてくれる展覧会がこちら。東京渋谷、Bunkamuraザ・ミュージアムでの「ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス」。

フランス美術の精華が集う

 タイトルにある通り、展示はすべてポーラ美術館の所蔵品で構成されている。箱根・仙石原の山中で瀟洒な佇いを見せる同館は、西洋近代美術の一大コレクションを有することでつとに知られる。そのなかから、19世紀後半~20世紀前半のフランス絵画を中心にセレクトし、一堂に展観できるようにしてある。

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撮影:古川裕也

 よく体系立てられているとの世評も高いのがポーラ美術館のコレクション。その特長を生かし、今展では時代順に整然とテーマが定めてある。

 展示は4つに分かれ、まず第1章「都市と自然」でモネやルノワールら印象派の典型的作品が登場。第2章「日常の輝き」ではセザンヌ、ゴッホなどポスト印象派と呼ばれる面々の作品が並ぶ。第3章「新しさを求めて」はピカソやマティスと20世紀美術を牽引した画家を取り上げる。そして第4章「芸術の都」でユトリロやシャガールら20世紀パリに集いエコール・ド・パリと称された一群の動きを見せる。

撮影:古川裕也

 全編これ美術史上のスターばかり。ほんの50年ほどのあいだにこれほどのアーティストを輩出するとは、当時のフランス及びパリの文化度の高さが窺える。

印象派のとことん明るい画面に陶然

 会場に身を置いてみると改めて感じ入る。どの作品の画面も徹底的に明るいことに。まるで絵画それ自体が発光しているかのよう。