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《全社員の4分の1が退社も…》「パワハラではないが『非常にあたりが強い』という話はあった」 “パワハラの温床”さくらんぼテレビの専務の言い分

《全社員の4分の1が退社も…》「パワハラではないが『非常にあたりが強い』という話はあった」 “パワハラの温床”さくらんぼテレビの専務の言い分

ハラスメント横行 さくらんぼテレビの闇 #2

「昔よりは非常に『神経遣うな』という気はします。今回の件については、私たちの時には当たり前のことだったと思います。今は(社員の)意識も違うし、社会環境も違うので、少し厳しい事を言われるだけで『萎えてしまうんだろうな』『気持ち的に耐えられないんだろうな』という印象です」

 記者の直撃取材に対して、時折あきれたように苦笑いを浮かべながら語ったのは、山形・さくらんぼテレビのT専務だ。

 現在、さくらんぼテレビは他社から“山形の北朝鮮”と揶揄されるほど過酷な労働環境にある。

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山形・さくらんぼテレビ

 同社を休職中のアナウンサーのAさんは、上司であるX氏から深夜に突然、「死ね」というLINEを送り付けられたり、スマホを投げつけられたこともあったという。他にも「女性社員を妊娠させた」という風評を流されるといった嫌がらせを2年間に渡り受け続けていた。また、先輩カメラマンのY氏からも恫喝めいたメッセージを日常的に送られるなどのパワハラ行為を受けていたという。

 休日は月に2日しか取れず、日常業務も早朝から深夜にわたるという過酷な勤務状況も重なり、Aさんは今年4月にうつ病を発症。休職に追い込まれた。

上司のX氏からAさんに深夜に送られた「死ね」という暴言LINE
ベテランカメラマンのY氏も恫喝めいたメッセージをAさんに…

 Aさんの他にもさくらんぼテレビでは若手社員の休職・退職がいまも後を絶たない。7人いるアナウンサーのうち2人がすでに休職中で、数年前には全社員の4分の1が退職するという異常事態が起きた年もあったという。

 そんな同社のハラスメントの温床になっているのが、社員たちが口々に「社内でのパワハラ・セクハラを半ば容認している」と指摘されるT専務の存在だ。さくらんぼテレビで横行するハラスメントについて、本人が自宅前での直撃取材に40分近く応じた。(全2回の2回目/#1を読む)

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労災がおりなかった申請は「私がもみ消したとかではない」

――休職中のアナウンサーの中には長時間労働や上司との関係でうつ病になってしまった方がいる。その人と専務が面談する中で、「君の状況では労災がおりない」という発言があったと聞きました。

「アナウンサーが2人休職しているのは事実です。ただ、発言については文脈が違います。うちの顧問弁護士と話をした中でそういう話が出たので『この段階では労災は無理だよ』ということを伝えました。(労災申請を)私がもみ消したとかではない。

 休職しているAとは週に1回、業務から離れた形で面談していました。彼の現状を考えた中でわだかまりを解消出来たらという気持ちからです。業務上の問題に関してというよりは今まで会社で働いていた社員に対する感謝の気持ちの中で対応していました」

写真イメージ ©️iStock.com