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「#俺たちの菅波」でセカンドブレイク…『おかえりモネ』には坂口健太郎こそ必要だった“本当の理由”

2021/10/22
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「セカンドブレイク」という言葉がある。説明するまでもないとは思うが念のため説明すると、一度ブレイクして落ち着いてから、もう一度大きな波が来ることである。二度目を体験する人は実力も運もホンモノ。二度ブレイクすることを目指して芸能人は日夜爪を研ぐ。

 今、セカンドブレイクの波に乗っているといえば坂口健太郎であろう。“朝ドラ”こと連続テレビ小説『おかえりモネ』から、昨今の人気枠・火曜ドラマ『婚姻届に判を捺しただけですが』への出演と活躍の場が続く最近の坂口。

『モネ』で演じた菅波光太朗がSNSでハッシュタグ「#俺たちの菅波」として盛り上がったことで確変した。言わば “#俺たちの菅波の変”である。

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23歳での俳優デビュー

 坂口健太郎は19歳でファッション誌「メンズノンノ」のモデルになり、23歳のとき俳優デビュー。朝ドラ『とと姉ちゃん』(16年)ではヒロイン(高畑充希)の初恋の相手を演じて女性ファンを獲得し、最初のブレイク。翌年は映画『君と100回目の恋』(17年)などで泣ける恋愛ものにも出演した。

 バレー部活動で鍛えたのびやかな身体、ギラギラしない爽やかな顔立ち、柔らかなささやき声という武器に、“読書好き“という知性面をプラスし、このままいわゆる「イケメン」路線を歩むかと思いきや、同年、映画『64-ロクヨン- 前編後編』(16年)の若き新聞記者役で第40回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。18年『シグナル 長期未解決事件捜査班』で連ドラ初出演、このドラマは21年映画化もされた。

坂口健太郎 ©AFLO

 19年の主演ドラマ『イノセンス 冤罪弁護士』など社会派ものやミステリーなどで硬派な役が増えていく。舞台にも挑み、そこではチェーホフの『かもめ』、シェイクスピアの『お気に召すまま』と古典の名作中の名作をしっかり抑える堅実さ。このまま渋い作品に手堅く出演していくのだろうかと思ったら、2021年、再び朝ドラに出演したことで空模様が変わってきたように感じる。

『とと姉ちゃん』からの“変化”

 ファーストブレイク作『とと姉ちゃん』での坂口はヒロインと別れる役だった。序盤で別れがあり終盤にも登場、再び別れが……。その無念をはらすかのように『モネ』ではどうやら相手役として最後まで完走しそうな気配である。

『モネ』で坂口が演じた役はヒロイン・百音(清原果耶)の恋人・菅波光太朗。ただし「#俺たちの菅波」は決して甘いムードを醸す人物ではない。優秀な医者ながら理屈っぽく、他者との会話がぶっきらぼうになりがちなキャラである。百音にも堅苦しいことばかり言うのだが、そんな彼に「キュン」となる視聴者が続出した。