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生きたまま何度も自分の車で轢かれ…「福岡保険金殺人」容疑者の印象を大きく変えた“放火事件”

「あれ、いま車の下に人が轢かれとったばいな」

 男性は毎朝、最寄りの商店に車で煙草を買いに行くのが日課だった。だがこの日は一瞬、見慣れた外の風景に、強烈な違和感が混ざり込む。今年4月2日、午前6時45分のことだ。

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背中に前輪が乗った状態

「気になったんで引き返したら、白髪の男の人が、背中に前輪が乗った状態で白い軽自動車の下敷きになっとった」(発見者の男性)

 福岡県うきは市、国道210号沿いにある廃業したうどん店の駐車場。南に100メートルも進めば大分県日田市に入る県境付近だ。

 半年後の10月6日。その日田市で保険代理店と運送会社の代表を務める松成英一郎容疑者(54)が、福岡県警に殺人容疑で逮捕された。被害者は松成の運送会社に勤務する西村一敏さん(当時64)だった。

西村さんが働いていた松成容疑者の会社

 2人は大分県の国東半島沖に浮かぶ離島・姫島村の出身。松成は実母の弟である叔父の西村さんを、残虐な方法で殺めていたのだ。

「前日の夜、会社で電話番をしていた際に松成に呼び出された被害者は、生きたまま何度も自分の車で轢かれていた。車の不具合の確認中の事故に見せかけた犯行だった」(捜査関係者)

 西村さんには生命保険と自動車保険を合わせ、4000万円近くの死亡保障がかかっていた。死後、うち約1500万円の保険金が松成に支払われている。