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つんく♂が考える「モーニング娘。」が“不景気の時代”にしか受けない理由

2021/11/12

source : 文藝春秋 2000年3月号

genre : エンタメ, 芸能, 音楽

 結成から25年目を迎えた「モーニング娘。」。グループをプロデュースしたつんく♂さんは、モーニング娘。のデビューから間もない時期に「文藝春秋」巻頭随筆(2000年3月号)で、原点ともいえる思いを明かしていました。特別に当時の寄稿を公開します。

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「努力して何とか自分を変えていこう」という向上心を重視

 本当はボーカルなんてやりたくなかった。脇で無口にギターを弾いていられたら、とずっと思っていた。ところがいつも、他の奴に歌わせては、「違うな。俺が歌うよ」と最後にはマイクを奪っていた。下手なボーカルはボーカルじゃない、音程がとれて声量があって高音が出なければダメだと思っていたんだ。

つんく♂さん

 そんな僕が初めてプロデュースしたグループが「モーニング娘。」である。歌は上手くないし、容姿も並みの芸能人の可愛さじゃないかもしれない。「努力して何とか自分を変えていこう」という向上心を重視したからこそ、オーディションに受かった子たちだ。彼女たち一人一人のどこに僕が注目し、それに応えて彼女たちがどう変わってきたかは、『LOVE論』(新潮社)という本にまとめた。

完成された子をモーニング娘。は必要としていなかった

 僕は、彼女たちを通して、普通の女の子たちが変わっていく様子を歌で表現していきたいと考えている。たとえば、市井紗耶香という子がいる。オーディションに来たとき14歳だった彼女は、将来美人になる可能性を十分に予感させた。もし既に美人になってしまっていたら、僕は彼女を採らなかったと思う。完成された子を「モーニング娘。」は必要としていなかった。