昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

木下側《おばたん♡》は「許容される限度を超えない」

 裁判資料によると、昨年9月から始まった裁判で争点となったのは、以下の4つのポイントだ。

(1)ダイレクトメッセージの送信が不法行為に該当するか

 Aさん側は木下が送信したメッセージの表現のうち、《事務所総出》について、「原告に自らの要求を認めさせるために反社会的勢力の威力を用いることを告げるものであると解され」、「原告を脅迫するとともに、強要するもの」と主張。また、《いい年こいたばばあ》《覚悟決めて認めなちゃい♡おばたん♡》等の表現は侮辱であり、名誉感情の侵害にあたると訴えていた。

 一方の木下側は脅迫や強要にはあたらないと否定したほか、《ばばあ》や《おばたん》については「不適切ではあるものの、具体的な事実や根拠を示したものでもなく、社会通念上許容される限度を超えた侮辱であるとまではいえない」とした。

木下がAさんに送った恫喝メッセージ

 判決ではAさんの主張がほぼ全面的に認められている。“反社会的勢力の威力を用いることを告げるもの”という点については否定されたが、「そうであったとしても、これが脅迫行為に当たる」と結論づけた。

 また、《いい年こいたばばあ》《うそつきwww》といった表現は「原告の人格について、虚偽の発言をする人物で能力が劣っているなどという否定的な評価をし、女性を侮蔑するような表現を用いて原告を嘲笑するものといえる」とし、“社会通念上許容される限度を超えた侮辱ではない”という木下側の主張を一蹴した。

(2)インスタへの投稿によって、Aさんの社会的評価が低下したかどうか

 木下のインスタへの投稿には、《給料もちゃんともらえず、、給料明細までもらえず、、、》《給料と給料明細を、出すのは、当たり前だよね?》といった記載があった。Aさん側は、この文言はAさんが経営者として失格という印象を与えるもので、Aさんの社会的評価を低下させたと訴えた。

 これに対し、木下側は、「穏当な表現を用いて単に原告の行為の問題点を指摘した」に過ぎないとした上で、Aさんの反論を記載したツイートが拡散されたことで「十分に功を奏した」ため、Aさんの社会的評価が低下したとは評価できないと反論していた。

木下優樹菜(本人のインスタグラムより)

 この点についても、裁判所はAさんを全面的に支持し、こう判断した。

「社会的評価の低下についての判断は、穏当な表現を用いて事実が摘示されたか否かによって左右されるものではない」

「社会的評価を低下させる表現をされた者がそれに対する反論をしたからといって、当該表現行為の違法性が失われることになるとは解されず、被告の主張を採用することはできない」