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連載完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件

あまりに残酷だった10歳少女への虐待 2歳児用の紙おむつを着用できるほど痩せ細り…

完全版ドキュメント・北九州監禁連続殺人事件 #77

2021/11/02

genre : ニュース, 社会

 起訴された案件だけで7人が死亡している「北九州監禁連続殺人事件」。

 もっとも凶悪な事件はなぜ起きたのか。新証言、新資料も含めて、発生当時から取材してきたノンフィクションライターが大きな“謎”を描く(連載第77回)。

北九州監禁連続殺人事件をめぐる人物相関図

通電されるとしゃっくりのような声を上げた花奈ちゃん

 松永太が緒方純子の親族である緒方一家6人のうち、最初に緒方の父である孝さん(仮名、以下同)を殺害したのは、1997年12月21日のこと。それから和美さん(緒方の母)、智恵子さん(同妹)、隆也さん(智恵子さんの夫)、佑介くん(隆也さん夫妻の長男)の順で命を奪われ、98年5月下旬頃には、佑介くんの死体解体が終了した。

 そして松永らのもとには、緒方一家のうち、当時10歳の花奈ちゃん(同夫妻の長女)だけが残された。

 年端もいかない彼女を、“排除”したいと考えた松永がどのような行為に出たか、福岡地裁小倉支部で開かれた公判の判決文(以下、判決文)は詳らかにしている。

〈松永は、平成10年(98年)5月下旬ころから、毎日のように、花奈に対し、種々の口実で、花奈の腕や顔面(両顎、両唇等)にひどい通電を繰り返した。花奈は、両顎に通電されると、短いしゃっくりのような声を上げた。その際、花奈は、通電を受けながら、松永に対し、「何も言いません。絶対に言いません。」と繰り返し言った。松永は、そのうち、全く理由を設けないで、花奈に通電するようになった。また、花奈に対し、プラグの接触時間を長くして通電するようになり、そのような通電によって花奈の二の腕に大きな火傷を負わせたが、松永は、傷口付近を古新聞で巻いて置くだけにして、放置した〉

幼稚園勤務時代の緒方純子(1983年撮影)

 これらは緒方の証言をもとにしたものだが、そうした虐待に、彼女が抱いていた感想も明かされる。

〈緒方は、台所で、花奈に対する通電の様子を見ていたが、そのときは、松永が花奈に通電するのは花奈を西浦家(仮名、隆也さんの実家)に帰すための口止工作ではないかと思っていた。しかし、現在では、松永が、花奈に対し顔面、両顎に繰り返し通電したのは、花奈の思考能力を奪ったり、花奈に生きていたいという気持ちを失わせたりするためではなかったかと思う〉

 この証言からわかる通り、当時の緒方には、10歳の少女への虐待という、異常事態についての抵抗感が欠落している。その場にいた唯一の大人がこうした状態のなか、花奈ちゃんは松永に追い詰められていった。