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口コミサイトは間違いだらけ…東秋留の“昭和から続く中華料理屋” 「550円のラーメン」は王道の味だった!

B中華を探す旅――東秋留「かんた楼」

2021/11/11

genre : ライフ, グルメ

 JR中央線の立川駅から青梅線に入り、拝島で五日市線に乗り換えて2駅目。駅舎が上りと下りの線路に挟まれた東秋留は、予想よりもだいぶ小さな駅であった。

 とても静かなこの街に、ずっと前から気になっていた「かんた楼」という名のB中華があるはずなのだ。

 

道に迷ってしまった……

 ところが南側に出たところ、商店街のようなものも見当たらず人の数も少ない。目標になるものがないので、スマホでマップを確認しながら目的地の方向へ進んでみた……のだが、ものの5分で道に迷った。

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 思っていた以上に道が入り組んでおり、一歩進むたびに「きっと間違えているぞ」と脳内センサーが警告を発する。道を聞こうにも人がおらず、いっそタクシーに乗ろうかと思ってもタクシー自体が通らない。

 どうしたものかとウロウロしていたとき、数10メートル先に若い男女の姿が。笑顔でなにかを話しながら、こちらに近づいてくる。

「こんなところでいきなり声をかけたら、そりゃー怪しまれるよなぁ」

 そうは思ったものの、こちとら困り果てているのだ。だから、レアなこのチャンスを逃すわけにはいかない。そこで勇気を出して声をかけてみたら、答えてくださった男性は「かんた楼」のことを知っていた。そればかりか、意外な答えまで返ってきた。

「僕たち市役所の職員で、いま同じ方向の図書館に行くところなんです。途中までご一緒しましょう」

 なんという救世主! かくして図書館まで、住宅地を3人で歩くことになったのだった。おいしい店のことなどを語り合いつつ、「なぜここで荻窪のカレー屋の話をしているんだろう?」などと感じながらも、楽しい時間を過ごすことができた。

黄色い日除けに赤地ののれん

「ここをまっすぐ進むと国道に出るので、向こう側に渡ってから右に進んでください。少し進むと歩道橋があるんですが、『かんた楼』さんはその手前の角を曲がって右側です」

 さすがは市役所の職員さん。わかりやすいし、とても親切だ。おかげで、まったく縁のなかったあきる野市に対する好感度までが急上昇である。ともあれふたりにお礼を告げて、いわれたとおりに進んでいく。すると歩道橋の脇に、とうとうその店を発見。おそらく普通に歩けば10分程度だったはずだが、道に迷いまくったため30分くらいかかってしまった。

 
 

 二階建ての建物は、やや煤けた赤色をしており、正面には黄色い日除けがついている。その下には、赤の地に白く「ラーメン」と抜かれたのれん。裏返しになっているところが味わい深いが、その向こうの引き戸をカラカラと開けると、店内は意外に広い。

 右側はL字型のカウンターになっていて、その向こうが広い厨房。天井に近いところにはテレビがあり、CMの音が小さく聞こえる。左側にはテーブル席が2卓あるが、すでに15時近くになっていたのでお客さんの姿はない。