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2021/11/22

死刑確定後わずか9カ月の“結婚”

 その後の裁判では、反省の気持ちを口にすることはなく、「あの世で子どもをしばいてやる」、「死ぬことはまったくびびっていません」、「幼稚園ならもっと殺せた……」などと、挑発的な発言を続けていた。

 宅間には大阪地裁で死刑判決が下され、03年9月26日には自ら控訴を取り下げて死刑が確定。彼は、刑事訴訟法第475条2項にある「(死刑執行の命令につき)判決確定の日から六箇月以内にこれをしなければならない」との法律をもとに、刑の早期執行を訴え、約1年後の04年9月14日に、異例の早さで死刑が執行された。

 死刑が確定したのち、わずか9カ月間の“結婚”はいかなるものだったのか。相手女性(A子さんとする)は、なぜ「支えになりたい」と考えたのだろうか。

面会者に宛てた宅間守の手紙(禁無断転載/文藝春秋)

「30代で、心の美しい方」

 まず裁判で宅間の弁護人を務めた戸谷茂樹弁護士のもとを訪ねた。

「入籍前からA子さんは弁護人である私を通じて手紙や差し入れを続けていました。当時30代で、心の美しい方との印象が強い。死刑囚の救援活動を続けてきたようで、(精神的に)荒み切っていた宅間さんの魂を救いたいと話していました」

 親族ではない限り、死刑確定後の宅間と面会できない事情をA子さんはよく理解していた。彼女が入籍の意思を伝えてきたのは刑が確定する少し前のことだった。

「当初、私は(結婚を)考え直すよう説得しました。彼が死刑になることは間違いない状況でしたからね。そうしたら彼女から(03年)9月18日にメールが届いて、そこには次のように書かれていました。〈先生からは、入籍については固く反対の言葉を頂きました。それはそれで、初対面とはいえ、私の将来について、先生の真心からの御考慮を頂いた上での御言葉であったものと受け止め、私は本心から、それを有り難く感じております〉、と」