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「ショウヘイは感情を露わに」“リアル二刀流”生みの親を大谷翔平が語った「なんとなく日本の野球っぽい」《MVP受賞》

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2021/11/20

 大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手(27)が、MVP(最優秀選手)に選ばれた。日本選手の受賞は、イチロー氏が受賞して以来、20年ぶり2人目の快挙。名将・ジョー・マドン監督は日本野球の影響も受けていたという。スポーツジャーナリストの斎藤庸裕氏による「大谷翔平『二刀流』を開眼させた男」(「文藝春秋」2021年9月号)を特別に全文公開する。(全2回の1回目/後編に続く)

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「感情を露わにし、非常に素晴らしい」

「ショウヘイは完全なベースボール・プレーヤーだ。100マイル(約161キロ)を超えるボールを投げ、100マイルを超える打球速度で400フィート(約122メートル)以上の飛距離を打つ。(一つひとつのプレーに)感情を露わにし、非常に素晴らしい。彼は信じられない素質を持っており、自信もあったはず。彼に必要なのはチャンスだけだった」

 4月4日、ホワイトソックス戦後、ロサンゼルス・エンゼルスのジョー・マドン監督(67)は心底感心した様子で語った――。

2021年9月20日、MLB米大リーグ、アストロズ戦1回、ベンチでの大谷翔平選手 ©ロイター=共同通信社

 エンゼルスの大谷翔平投手(27)が、投打の二刀流で驚異的なパフォーマンスを続けている。

 7月28日の時点で、投手では5勝1敗、防御率3.04。勝ち星こそ少ないが、防御率はチーム2位。打者としては打率2割7分6厘、316本塁打、78打点、本塁打数は両リーグトップ。日本人初の本塁打王、そして打点王を合わせた二冠を狙える位置につけている。

「投打同時出場」となる「リアル二刀流」

 さらなる衝撃は、今季の大谷が「投打同時出場」となる「リアル二刀流」を続けていることだ。オールスターにもメジャー史上初めて「リアル二刀流」で出場した。

 前述した開幕4戦目となるホワイトソックス戦から「リアル二刀流」の伝説は始まった。

 この日、大谷は、「2番・投手」で先発出場する。メジャー移籍4年目にして初めての「投打同時出場」だった。エンゼルスが所属するア・リーグでは、指名打者(DH)制度があり、基本的に投手は打席に立つことがない。しかしマドン監督はDHを解除し、先発マウンドに上がる大谷を2番打者で起用した。

 そして第1打席。大谷は初球を完璧に捉え、ライトスタンドに特大のホームランを叩き込む。1973年からア・リーグでDH制が採用されて以降、先発投手の本塁打は初めてのことだ。