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2021/11/20

大谷の「二刀流」を開眼させた人物

 投手では初回から160キロのストレートを連発するも、5回に暴投などで3失点。本塁上で転倒するアクシデントもあり降板を余儀なくされた。それでもメジャーにおけるリアル二刀流のお披露目は、衝撃を与えるに充分の内容だった。

 このマドン監督こそ、大谷の「二刀流」を開眼させた人物であり、最大の理解者なのだ。

 過去3年間の大谷は、登板試合は投手に専念、それ以外の試合ではDHの打者として出場していた。

 今季、大谷の二刀流が実現したのは、エンゼルスのチーム事情によるものでもなければ、マドン監督の思い付きでもない。

 開幕前のオープン戦からマドン監督は、「二刀流」の青写真を描き、周到に準備してきた。

ジョー・マドン監督 ©共同通信社

「やらない理由はない」

 3月21日のパドレス戦で、大谷は「1番・投手」で出場する。それまでオープン戦での打率は6割、投手でも2試合に投げるなど、投打ともに好調をキープ。二刀流を試すには絶好のタイミングだった。

「ピッチャーをやりながらというよりも、まず1番バッターとしての役割が出来るかどうかが大事」

 そう語っていた大谷は、1打席目でセンター前ヒットを放つなど2打数2安打。投げては4回2安打1失点で5奪3振。3回にはメジャー自己最速を更新する101.9マイル(約164キロ)を計測するなど、上々の試運転だった。

 この試合までに、大谷はマドン監督と綿密に対話を重ねてきた。

 マドン監督はこう語る。

「1、2週間ほどかけて、彼とじっくり話し合った。こちらの意図を理解してもらい、実際の試合で(二刀流が可能かどうか)彼の感覚を確かめたかった」

 2019年オフにエンゼルス監督に就任してからというもの、「やらない理由はない」と、マドン監督は大谷の二刀流起用にずっと意欲を示してきた。