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2021/11/20

「ストレスはもう見受けられない」

 一時的に調子が上向いても、長く続かず、大谷はシーズンを通して不振にあえぎ、打率1割9分、7本塁打、24打点の成績に終わった。だが、マドン監督は、二刀流を断念しようとは思わなかったという。

「そんな考えがかすめたことさえない。投打両方を非常に高いレベルでやってきた彼に対する大きな信頼がある。私がすべきことは、(二刀流を)どうやって機能させるかということだ。彼と話し合いながら、ここまで上手くできているよ」

 そして今季、絶好調をキープする大谷は、ついに「リアル二刀流」を実現させた。マドン監督が続ける。

「なにより重要なのは、自分のキャリアについて責任をもたせることだ。我々よりも彼の方が、自分が何をすべきかよく理解している。昨年彼の表情に浮かんでいたストレスはもう見受けられない。ショウヘイは自分のすべきことに責任をもち、自由を心から楽しんでいる。そして彼は、(二刀流が可能だと)何度も証明してくれた。それこそがまさに私が彼に求めていたことだった」

写真はイメージ ©iStock.com

前代未聞の出場方法

 オールスターゲームにおける「二刀流」の実現にも、マドン監督は一役買っている。現行のルールでは、DHで出場した選手が登板することはできない。だが、マドン監督は「すべての野球ファンが望むことだ」と主張。ア・リーグを指揮したレイズのケビン・キャッシュ監督と連絡を取り合い、「1番・DH」で出場しながら、先発マウンドに上がる前代未聞の出場方法を実現させたのだ。

 選手とともに戦い、ファンの期待に応える。そして、野球の未来も考える。4月4日のホワイトソックス戦後、マドン監督はこう言った。

「(彼の二刀流は)非常に影響のあることだし、今季はすごく面白くなるよ。子供たちも彼と同じことをやってみたいと思うきっかけにもなるだろう。本当に素晴らしいことだよ。これはアメリカだろうが、他の国だろうが関係ない。私はただただ野球ファンにショウヘイ・オオタニが投げて打つことを見て欲しいだけだ」

 118年の歴史を誇るメジャーリーグにおいて、大谷、そしてマドン監督は、二刀流という野球の新たな魅力を示している。

「近頃の彼は笑顔が多いし、いい時間を過ごせていると思う」

 そう言いながら67歳の名将は、27歳の選手を嬉しそうに見つめるのだ。

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