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2021/11/30

source : 文藝春秋 2010年4月号

genre : ニュース, 皇室

さりげなく異性と知り合う機会があるのは学生時代

 紀子さまも、結婚前から両陛下と親密に接し、両陛下から「キコちゃん」と呼ばれるなど、とてもかわいがられていた。宮さまは「両親は付き合っていることは知っていましたし、結婚するんだろうなということもおそらく分っていたと思います。また、結婚する相手が彼女だったらいいな、というふうに思っていたと思います」と、話したことがある。宮さまが紀子さまにプロポーズをしたことを両陛下に打ち明けた時も、両陛下が結婚に反対だったとか難色を示したことはなかった。交際当初から、両陛下は若い二人の行く末を常に温かく見守り、結婚を後押しされたのだった。

上皇さまと美智子さま 宮内庁提供

 宮さまは私に「学生時代に結婚相手を見つけないと難しいですよ」と話したことがある。大学時代だと、キャンパスには女子学生がたくさんいて自然な形で出会えるし、会話もできる。しかし、社会に出てしまうと、特に皇族は周囲にマスコミの目が光る。さりげなく異性と知り合う機会は少なくなり、結婚のチャンスは減ってしまう。だから、大学生の時に相手を見つけておかないと、結婚はより難しくなると宮さまは考えていたようだ。

 皇太子さまと宮さまの結婚に至るプロセスを振り返る時、私は、二人の性格の違いも感じる。学習院大学時代、皇太子さまは文学部史学科で4年間学んだ。宮さまが在籍した法学部政治学科より、女子学生の割合は多かった。もし、皇太子さまが、宮さまと同じように「学生時代になんとしても結婚相手を見つけなければ」と本気で考えていたら、そうした機会は少なからず訪れたと思う。

 しかし、皇太子さまは特定の女性と知り合うことをしなかった。おそらく、皇太子さまの性格からして、一人の女性に声をかけるというのは不公平になると考えたのではなかろうか。宮さまのように御所に特定の女性を招くのではなく、皇太子さまは誰彼となく全員に声をかけ、そして分け隔てなく交流を楽しんだのだろう。

兄弟の性格の違い

 宮さまは20年前と今も変わらず、シャイなところがある。以前「初対面の人にあまり積極的に話しかけるタイプではないので困ることがある」と私に語ったことがあるが、今でも初対面の人との会話がなかなかうまく弾まないのではなかろうか。だが、「この人」と思えば積極的になるのが宮さまだ。結婚を前提に「意中の人」に向って突き進む宮さまと、ぐっと踏みとどまり女性と公平に接しようと努める皇太子さまの違いがここにある。

 それからこんな性格の違いもある。登山やジョギングを進んで楽しむ皇太子さまと違い、宮さまは山登りや走ることは苦手だ。自宅の植物に水をやるほうが好きだ。こう聞くと、皇太子さまのほうが活動的で頑強そうだが、宮さまによると、ジャングルのような僻地でサバイバルできるのは自分の方だろうと話す。非日常的な空間で生活するたくましさや予期せぬ出来事に対処する柔軟さは、皇太子さまよりも持ち合わせていると、宮さまは考えている。

 このような兄と弟の性格の違いは、現在に至るまで様々な場面で影響を与えている。

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