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3カ月以上も単行本が品切れに…「不良」を描いた『東京卍リベンジャーズ』が漫画大国・フランスで大ヒットのワケ

2021/11/28
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フランスでは3カ月以上、複数の巻が品切れに

 フランスでも今年5月からアニメの配信プラットフォームであるクランチロール(Crunchyroll)上で同作品の配信が開始されて以来、その人気が拡大し続けている。

 現在のフランスでは、コロナ禍のあおりを受ける形で書籍の印刷に用いる用紙の高騰および不足が問題となっているが、そこにさらに『東京卍リベンジャーズ』のブームが重なることで、実に3カ月以上もの間、単行本の複数の巻で品切れ状態が続いた。『東京卍リベンジャーズ』の日本の公式アカウントのツイートからも、同作のフランスでの人気ぶりがうかがえる。 

 今年の夏ごろからはInstagramやTikTokなどのSNS上において、フランスのファンたちが『東京卍リベンジャーズ』のキャラクターのコスプレを楽しむ姿が目立ち始めた。フランスの若者たちが、日本固有のカウンターカルチャーである暴走族の特攻服をモチーフとした同作の衣装を着用してポーズを決める姿は、非常に新鮮である。

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 一時はこうしたコスプレの衣装における「卍(まんじ)」のモチーフと、ナチス・ドイツが用いていた鈎十字(ハーケンクロイツ)が同一視されることで、SNSなどにおいては論争が生じていたが、最終的にはこうした批判はアジアの仏教文化に対する無理解によるものであると結論付けられ、事態は沈静化している。

『東京卍リベンジャーズ』のフランスでの人気は、日ごろからコスプレを楽しんでいるような、いわゆる「マンガ/日本文化オタク」層のみにとどまらない。フランスで最も権威ある新聞のル・モンドや、テレビのニュース専門チャンネルにおいても特集が組まれるなど、同作は大きな注目を浴びている。

公式サイトより

 ところで『東京卍リベンジャーズ』は、SF的な要素やスタイリッシュなキャラクターデザインなどで知られると同時に、半世紀ほどの歴史をもつ日本の「不良(ヤンキー)マンガ」や、また「暴走族マンガ」の系譜の中に位置付けられる作品でもある。

 果たして日本から遠く離れたフランスの人びとの目に、日本の不良文化はどのように映っているのであろうか。