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「体重が減るのが今の私の支え」…有名進学校の女子高校生が体重31キロ、生理も止まるまでやせたわけ

やせることで周りの関心を集められる

 神経性やせ症の女子を見ると、どうしても「やせた体」に目を向けてしまいがちです。でも、彼女たちが最もつらく感じているのは、劣等感や挫折感で満ちあふれた出口の見つからない 閉塞(へいそく) 感なのです。優等生であった綾乃さんの場合は、高校入学後から勉強や友だち付き合いがうまくいかず、学校生活に行き詰まっていました。そこから抜け出すために、やせることを選択したのです。常に体重を気にしてやせることに懸命になることで、自分が置かれているつらい現実世界から一時的にでも離れられるわけです。食欲や体重を自分でコントロールすることによって得られる達成感や満足感が、自分のこころの支えになってくれるのです。

 極度にやせることで、周りの大人から注目を集めることができることも、神経性やせ症の特徴かもしれません。発症前の彼女たちは、周りから気づかいを受けることがないほど、「しっかりした子」「手がかからない子」などと見なされています。「幼いきょうだいに手がかかり、母親の関心が患者に向けられていない」というケースもしばしばあります。学校でも、教師が彼女たちを頼りにして、手助けが必要な生徒を預けてしまう、というのもよくある話です。そのような彼女たちは、極端にやせた体形になることで、周りの関心と気づかいを集められるようになると想像されます。

 神経性やせ症の患者が回復するには、やせることへのこだわりに代わる、生きる意味や目的を新たに見いだすことが必要です。しかし、勉強や部活動にだけ全精力を注ぎ込んできたまじめな彼女たちが、他の生き方を見つけるのは容易なことではありません。そのたいへんな道のりに伴走していくことが、精神科医の役割だと考えています。(武井明 精神科医)

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