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「これはむちゃくちゃ大変やないか」サイボウズ社長が夫婦別姓の訴訟を起こした納得の理由

たとえば自民党の野田聖子議員のもとへ赴き、ざっくばらんに夫婦別姓について伺ったときのこと。

彼女はかつて、自身の家名を継承するために事実婚を選択していたこともある人です。選択的夫婦別姓に関しては「民法の一部改正に関する法律案」を提出したこともある、筋金入りの「別姓賛成派」。そんな彼女は、こう教えてくれました。

「政治家の中でも、一部の議員が猛烈に反対しているんですよ」

どうやら、「家族の絆」や「伝統」といった言葉を大切にする人たちが政治の中心に陣取っていて、夫婦別姓の家族が増えることによって、なし崩し的に戸籍制度まで破壊されてしまうことを恐れている。たとえ選択的であれ絶対に許さん、とガードしているというのです。

「ただ、彼らは影響力が大きいので、『賛成したら選挙で応援しない』と言われれば黙るしかない。心の中では別姓に賛成している議員も、表立っては推進できないんです」

政治を変えるにはまず世論に訴える必要がある

では、どうすればいいのか、政治から夫婦別姓制度に変えることはできないのか? と突っ込んで聞くと、社会、つまり有権者たちが「そういうムード」になることが大切だと教えてくれました。

――「立法」、つまり法律をアップデートしたり新たにつくったりするのは、国会議員の仕事。彼らが「ノー」の立場であれば、いつまでも法律は変わらない。法の面から社会を変えるためには、国会議員の考えを変えなければならない。そのためには、彼らを「選ぶ人」である有権者の意思、つまり世論を賛成多数にするしかない。そうすれば、選挙で落選したくない議員たちは空気を読み、「別姓に反対したら次の選挙は危ないな」と、そちらに意見を寄せていくはず。

結局のところ、政治家は自分が選挙に当選するかどうかが一番の関心事、というわけです。落選すれば、職を失うわけですからね。

世論が選択的夫婦別姓賛成多数になっていけば、必然的に、政治家たちのスタンスも賛成に変わっていきます。まずは世論に訴える必要があるんだな、と知ることができました。

青野 慶久(あおの・よしひさ)
サイボウズ社長
1971年、愛媛県出身。大阪大学卒業後、松下電工(現 パナソニック)を経て、97年サイボウズを設立。2005年より現職。3児の父として3度の育児休暇を取得。総務省、厚生労働省、経済産業省、内閣府、内閣官房の働き方変革プロジェクトの外部アドバイザーを務める。著書に『ちょいデキ!』(文春新書)、『チームのことだけ、考えた。』(ダイヤモンド社)、『会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。』(PHP研究所)など。

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