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健康寿命の延伸、患者・家族の医療リテラシーの向上に加え、医者も知らない急性痛と慢性痛の違いもここで説明しています。医者とはいえ、自分の能力を客観的に判断できるとは限りませんから、医者を全知全能の神とあがめず、ご自身で慢性痛とは何かを理解するようにしてください。

医師を惑わせる「診断名の呪い」

慢性痛が「こじれる」のは、画像検査など目に見えるものは信じやすいということ、慢性痛と心理・社会との関係、「診断名」への誤解などがあります。診断名の呪いとも言えるでしょう。

慢性痛においては、どんな診断名であろうと治療方針はあまり変わらないので、診断名は実は重要ではありません。そもそも何のために診断するのでしょうか? それは、診断に応じた適切な治療をするため、急性痛やガン性痛でないことの確認のためです。

陥りガチなワナとして、「診断名がつく⇒原因がわかった⇒治療法がある」あるいは「診断名がつかない⇒原因がかわらない⇒治療法がない」というパターンです。

本態性高血圧=原因がわからない高血圧、突発性難聴=原因がわからない難聴ですが、診断名がつくと原因がわかった=治療法があると思われてしまうことと同じです。遺伝子異常による先天性疾患の中には、原因が特定できているものもありますが、残念ながら決定的な治療法はありません。

画像診断の結果、「腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症」と診断されるケースがよくあります。あまりに痛みがひどいと手術に誘導されるケースもあります。しかし画像で異常が見つかっても、それが痛みの真の原因とは限りません。同じ「腰部脊柱管狭窄症」でも必ず痛みが出るわけではないからです。

真の原因を探るには、患者さんの話や、身体所見から原因を探っていき、あくまでもその確認として画像診断を使うという「真逆のアプローチ」が必要です。

「数値化」と「客観的」は違います。痛みは常に主観的であり、心理社会的要因は大変重要な要素ですが、数値化で測れるものではありません。通常、整形外科医はここまで分析はしません。ですので「腰部脊柱管狭窄症」という診断は誤診ではなく、一面的な診断というわけです。